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ミンナのウタのbluemomday0105のレビュー・感想・評価

ミンナのウタ(2023年製作の映画)
3.8
「ホラー映画」が好きな人には「映画ファン」と「怪談好き」がいるんだな…。
映画ファンの考える「ホラーの怖さ」ってジャンプスケアなど視覚的表現が主体な気がするけど「怖い話が好き」な人は物語と現実の距離が近いところに重きを置くのかもしれない。重ねて言えば虚構の中に個人や現実社会とリンクするメッセージを見出そうとする映画ファンと、あの世とこの世の境界が曖昧になるような「本当に遭遇しそうなリアリティ」に怖さを見出す怪談好き?

ミンナのウタ、評価が極端に分かれてるのはそういう所が原因かもしれない。全年齢向けに凄惨な表現をカットしたり、ボーイズグループのGENERATIONSを本人役で起用した辺りに色眼鏡で見てる人もいるだろうけど、これは「怪談好き」の需要を満たすホラー映画。
私は完全に前者側なので「そんな怖いかな~?これなら前にやってた清水監督プロデュースの古民家モニタリングのが怖かったな…。笑いパートのLDHネタで中和されるし」と思ってたけど、確かに後者の視点で観ると怖いわ!ご丁寧に実際のライブ映像使ってるし「すぐそばにいる怪異」の恐怖…使われてるGENERATIONSの楽曲が陽キャポジティブなのも逆に空虚…陽のパワーをもってしても避けられぬのか。

ラジオの仕事後に失踪した小森隼さんを探すために、マネージャー(早見あかり)に雇われたうだつのあがらなさそうな中年探偵(マキタスポーツ)。実質の主人公はこの2人な気もする。途中からリーダーかつ小森さんの高校の先輩(グループ内ケミコンビのひとつ)白濱亜嵐さんが加わるんですが、この構図ストレンジャーシングスじゃん!って勝手に盛り上がってました。黒髪ボブのアカリン、若い頃のウィノナ・ライダーぽいし…日本のホーキンスこと中目黒! まあ仲間がだんだん消えていくのですが。

私は亜嵐くんのオタクなのでシネスコサイズの推しの新規画にウワッ顔がいい!鼻が高い!この角度好き!背中デッケェ!と話と関係ないところで盛り上がってて、怖さを感じるメモリが足りなかった気もする…慣れた2回目の方が細かい伏線を見つけて怖かったし。

視覚的に食い足りない分、音の不穏さがすごい。女性の声、知らない鼻歌、しゃっくり、ボールペンノック、首をかいたり指でリズムを取る仕草、カセットテープに吹き込まれた「魂の声」。これらを映画館の音響で聞かされるの、かなりゾワゾワする。カセットテープといえはかぐや姫の都市伝説の話も出てきました。懐かしい~

結末をハッピーエンドと捉えるか悪夢の始まりと捉えるかでも評価分かれそう。ストレンジャーシングスもウィルは戻ってきてから能力得てなかったけ…?
しかしLDHの屋号の由来のひとつ、でとりわけDreamの要素が強いGENERATIONSがこの映画出るの意地が悪くていい。最悪のLove, Dream&Happinessやん。

あとこの世界では出演してるボーカルが片寄さんひとりですが本当は2人いるしクレジットに数原さんの名前も出てるので、「数原はいまテレビのロケで沖縄にいます」とかセリフがあってもよかったかもと思いました。出てない数原さん、存在が喫茶店で人数より多めにお冷出てきた怪談になってる…
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