bluemomday0105

ドリーム・ホースのbluemomday0105のレビュー・感想・評価

ドリーム・ホース(2020年製作の映画)
5.0
ちょっと!ウェールズ舞台で薄く期待してましたが、めちゃくちゃ良さが詰まったウェルシュムービーじゃないですか!歓喜!!

ウェールズのしがない主婦が主人公、しかも演じるのがヘレディタリーのトニ・コレットってだけでも期待してましたがめちゃよかった!
こんなに「好き」が詰まった、幸せが詰まった映画に出会えるなんて、新年早々感謝の思いでいっぱい。

パートと親の介護と家事で明け暮れ、子供も巣立ち失業中の夫とも会話はない、毎日「無」の生活を過ごすウェールズの田舎の主婦。なんとなく生活に潤いがほしくて競走馬の飼育に興味を持ち仔馬を育て仲間と馬主になったら、なんとその仔馬がレースで勝ちまくるようになり…!嘘みたいな話ですがなんと実話ベース。

だいぶラッキーではあるけど、主人公は幼少時から動物の飼育や調教が得意だったり、生活の合間に血統や牝馬の購入、種付けなどを独習し、いけすかない(けどゆくゆくは理解者の1人となる)馬主を仲間に引き入れ、地道に仲間を増やしていく粘り強さや勤勉さ、コミュ力の高さなど成功の要因を伺える所があり、ただの棚ぼたストーリーになってないのが良いです。

「仕事や家庭以外に日々の生きがいが生まれる」って所謂推し活と繋がる所もあるけれど、人間がコントロールできない領域にも理解を示すことが必要な辺り、馬主はどちらかと言うとサポーター心理に近いのかも。

「ドリームにはこれまで与えてもらってばかりだった。一度くらいあの子の願いを叶えてあげてもいいのでは」って台詞に、最近結婚したとある推しグループのメンバーを連想した。
これまで何年も写真を撮られたり匂わせしないよう気遣いして、過密スケジュールや食事制限をこなしてきた彼が唯一我を通したかったこと、と思ったらそれを咎めることはできないな…。

まあ一番映画館で昂ったのは、バスの中でマニックスの「A Design for Life」を合唱するシーンですね…。マニックス自体にも思い入れあるけど、あの歌詞のように「真面目に暮らしてても生活が上がり目になるわけでもないが、夢を見ることにも白けただただパブで酒を飲むしか楽しみがない、地方の負け組」な彼らが上機嫌であの歌を歌ってる。「夢が叶うこと」を初めて知ったような多幸感に溢れてた。

劇中流れるマニックスやスーファリも嬉しいのだけど、世界中で一番大好きな国歌ことウェールズ国歌をワンコーラス流してくれたり、カラオケでトム・ジョーンズ熱唱されたりと話に聞いてた「ウェールズあるあるネタ」がばっちり収められてるのもホンマモンや!になりました。
あとエンドロールが最高でした!
bluemomday0105

bluemomday0105