ロバート・ゼメキスはこの映画を相当研究して「ザ・ウォーク」を作り上げたのだろう。
実際観てみるとショットやシナリオの構成などそっくりそのままのシーンが多々ある。
「世界一美しい犯罪」とも称される貿易センタービルの綱渡り。そこに辿り着くまでのスリリングな駆け引きなどドキュメンタリーであることを忘れさせてくれる圧倒的なドラマとしての面白さがある。
「ザ・ウォーク」のドラマパートの面白さはゼメキスの演出の妙かと思っていたが、本作を鑑賞するとそれは半分正しく半分間違いだったことに気づく。
「マン・オン・ワイヤー」は極めて完成度の高いドキュメンタリーであり、余分な要素を含まずとも充分に面白い。ゆえに「ザ・ウォーク」は本作の面白さをそっくりそのまま劇映画に落とし込んだ作りになっている。
「ザ・ウォーク」は3D、しかも劇場でという付加価値がついているが、DVDでじっくり楽しめるのは本作のほうかもしれない。