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BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-のbackpackerのレビュー・感想・評価

BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-(2024年製作の映画)
3.0
BANGER!!!試写会GAGA試写室にて鑑賞

【雑感】
メチャクチャに尖った方向性・世界観をベースにした作品で、見る者を選ぶ作品でした。

開幕は正直とっつきにくく、展開とCGアニメーションと声のバランスに惑わされ「コレ大丈夫か?」と不安になりました。
しかし、物語が進むにつれて、普段見慣れたバイオレンス&アクションと世界観のマッチングが進み、自身の脳内での補完がなされる頃には、スピード感で魅せる終盤に突入。見事に楽しませていただきました。

ギンティ小林さんと監督の対談で度々話題に出ていましたが、本作からは時代劇や東映任侠映画の香りがそこはかとなく立ち昇り、さらに近未来SFディストピアが融合。『昭和残俠伝』を縦糸、『MAD MAX』を横糸にして、深作欣二という織り機で布に仕立てたような作品でした。
それもあってか、登場キャラの現代風にアニメアニメしたビジュアル(原作?である『エスタブライフ』メンバー登場とかが、ファンにはたまらないのかもしれません。残念ながら当方は見ておりませんが……)と中々折り合いがつけられませんでしたが、二幕ミッドポイントの"痛ましい出来事"後に待ち受ける、ヒロインのルナルゥちゃんが体験した恐怖と自己否定というイニシエーションを経てステップアップ(二幕のターニングポイント)したところで、完璧バチリとハマりました。髪型が変わるって、ホントに象徴的演技ですよね……。


全編通してハマる人はハマるタイプの作品で、対談での「アニメを深く守備範囲とする人より、本作と同系統の実写作品を見る人の方が向いている」旨の発言がまさに正鵠を得ていた気がします。
ただ、この手のキワモノ作品は、谷口監督ファン、『エスタブライフ』ファン、熱心なアニメ映画好き等がスクリーンに足を運ぶ系列でしょうし、彼らがどれだけ興行にペイしてくれるのか、今から不安でたまりません。本作が爆発的ヒットを記録する未来は、全く浮かばない……。
「午後のロードショーで産湯をつかい姓は映画バカ名はシネキチ」みたいな人こそ、楽しめるのは間違いありません。
みなさん、是非劇場でご鑑賞を!!
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