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みなに幸あれのbackpackerのレビュー・感想・評価

みなに幸あれ(2023年製作の映画)
3.0
"味噌"……?

社会風刺の皮を借りて、種としての人間の罪業を見せつける作品。
思い出されたのは、『エヴォリューション』(2016年 監督: ルシール・アザリロビック)と『鈴木さん』(2020年 監督:佐々木想)。この2作を足して割って、サイコスリラー要素を増した印象です。

偽善・正論・不条理・倫理観・死生観・道徳等の観念の中で、無意識に忌避若しくは意識しない影の側面を白日に晒す事がもたらす不快感でもって、観る者の心をざわつかせてきます。
ストレートに食肉問題を取り上げるより、弱カニバリズム意識を含んだモノに置き換える事で、一層気分を悪くさせる所が良くできていましたね。

とは言え、コレがほぼ満席になる程優れた映画だったのかは、正直謎です。ぶっちゃけ評価が難しい。
個人的の趣向で言えば、苦手な部類です。
『エヴォリューション』も怖気が走って苦手でしたが、本作は「そこまでじゃないけど苦手」って程度でした。
また、当初想定したジャンル物期待値からは乖離した内容であったことも、評価をつけにくくする原因の一つ。
途中まで「"戦う女性"スプロイテーション作品の系譜か?」とも思いつつ、落着した所がアレなので、なんとも言い難いです。
まあ、日頃雑多に映画を見まくってる身からすれば、偶にはこんなのも悪くありません。
が、女友達数人連れ・カップル・若者の比率が高いスクリーン状態で、仮に彼らの何割かが"年に数回話題作を見る"系の人だったとしたら、本作をどう見て、どう感じ取り、どう受け止めているのか、正直気になります。
「この世界はゼロとイチ」なんてセリフもありましたが、善悪二元論的な価値判断ではカバーできない世界に触れた時、当たり外れで処理したりしないといいんですが……。
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