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黄昏のチャイナタウンのHKのレビュー・感想・評価

黄昏のチャイナタウン(1990年製作の映画)
3.5
ポランスキーの名作『チャイナタウン』を主演のジャック・ニコルソン自身が16年ぶりに主演・監督まで務めた続編です。

製作にも名を連ねるニコルソンはハードルが高いのは承知でどうしても作りたかったらしく、かなりの野心作であることが見て取れます。
しかし評価は芳しくなく、私も前作が大好きなだけにコワさ半分でずっとスルーしてきましたがとうとうCS鑑賞。

原題は“The Two Jakes(二人のジェイク)” 本作のニコルソンとハーベイ・カイテルのことです。
主人公のJ・J・ギテスという探偵キャラだけを使い回した別のお話を想像していたら、思いっきり前作を引きずった続編でした。

前作から10年後の設定ですが、ニコルソンは過去の亡霊に囚われたのかすっかり老け込んでストレス太り(?)。
実際は16年経ってるわけですが、前作ではまだホッソリして若かったのに本作では目が座ったお馴染みのニコルソンとなっており、本人なのに違和感あり(『バットマン』でジョーカーを演じた翌年の作品)です。

でも、オープニングは前作と同じく浮気現場の写真から始まり、前作のヒロインであるフェイ・ダナウェイもポートレートと声の出演、警官だった過去をチラリと見せたり、ニコルソンの鼻にはポランスキーにナイフで切られた古傷まで再現してありかなり凝ったつくり。
ストーリーもそれなりに練られているようなんですが・・・何かが弱い。

脚本は前作でアカデミー脚本賞を獲ったロバート・タウン、撮影はヴィルモス・ジグモンド。
共演はカイテルにマデリーン・ストウ、脇もイーライ・ウォラック、リチャード・ファーンスワース、フレデリック・フォレストなど芸達者が固めており、逆にこれだけベテランのスタッフ・キャストが揃えば(何かが弱くても)そこそこの映画にはなるという見本のような映画とも言えます。

とても贅沢な作りなのに何かしらもったいなさを感じる作品でした。
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