ミッキン

アステロイド・シティのミッキンのレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
3.9
初見ではなかなか理解し難いストーリー。『犬ヶ島』や『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』などでウェス・アンダーソンの世界観は予習済みだから辛うじてついていけたけど。
後で伏線回収していく展開だから序盤はぶっちゃけダルい。エドワード・ノートンのドキュメント番組と、描かれる劇中劇とが入り交じっているから尚更。2回目の鑑賞でようやく「あー、なるほどね」と入っていけるんじゃないかな(時間もないから見返すことは無いけど)。

対象物を中央に配した絵になる構図、パステルな色彩、黄色いゴシックフォント。作家性は今回もブレない。

個人的に好きなシーンは女性教師とカウボーイが電撃的に惹かれ合いダンスを踊るシーン。あとは戦場カメラマンが喜劇女優と窓際で語り合うのもいい。無許可でカメラを向けシャッターを押したのがきっかけでこうもただならぬ関係になれるものなのか。カメラマンの魔力。篠山紀信の逸話を思い出してしまう。
若い若いと思っていたスカヨハもすっかりミドル世代の風格が出てきたなぁ。
トム・ハンクスに至っては枯れた印象。言われなきゃ彼だって分からないレベル。
マット・ディロンもこんなチョイ役で使うの、って思った。
いい意味でも悪い意味でも役者のオーラを消す作品。皆んな監督の世界に染まっている。