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FLY!/フライ!のトルーパーcomのレビュー・感想・評価

FLY!/フライ!(2023年製作の映画)
4.5

一度も地元の池から出たことのないカモの一家が、渡り鳥と化して旅に出る。
ディズニーシーのソアリンを、アニメで80分観れます的な爽快映画。

・シンプルで安心幸福なストーリー
・共感できるキャラクターたち
・鳥目線では狂気の世界として描かれる面白さ
・物語とリンクして多幸感あふれる飛翔映像

個人的に、今年の年間ベスト10には入るんじゃないかなくらいの当たりでした。


<以下、微ネタバレあり感想>










【1】鳥目線映像のすばらしさ
鳥が飛ぶ。ただそれだけで、なぜここまで幸せな気持ちになれるのか。
ドローンで撮りましたみたいな空撮風映像は実写でもアニメでもよく見られるようになったけれども、本作の飛行映像はそのどれともちょっと違う。

鳥ならではの目線の低さ/スピード感/光の演出etc

始めてディズニーシーのソアリンに乗ったときに感じた「飛んでる!今飛んでる!」っていうシンプルな爽快感。
この感覚が映像化されただけでも観る価値ありっていう作品です。


【2】物語とリンクした多幸感
とはいえ、鳥目線で飛ぶ映像をただ何回も見せられるだけでは、「よくできてるなー」くらいの感想で終わるもの。

本作は、主人公たちが飛び立つ絵に、キャラクターの成長/仲間の存在/勇気/恐怖/ヒーロー心etc
ちゃんと物語とリンクして、気持ちがアガるタイミングで飛翔映像が訪れるので、映像的快感と物語的快感が一体となり、えもいわれぬ多幸感が観客の心を包み込む。

やっぱり映画ってキャラクターと物語だよなと再認識。


【3】キャラクター
シンプルかつ最小限に配置されたキャラクターは、その全員が個性的で忘れられないメンバー。

・何歳になっても、一歩踏み出せば人(鳥)は変われるんだと示してくれた父
・パートナーと家族に力をもたらす前向きで意志の強い母

・好奇心が勇気へ転換し、大人へと成長する兄
・ただただ可愛く、ベビーグルートやグローグーも真っ青なあざと可愛さを見せつける妹
・老いて置き去りにされるだけの存在かと思いきや欠かせない家族の一員となる叔父

・絶望から解放され、主人公一家と我々観客を歓喜の楽園へと導くジャマイカのオウム
・ハトってなんか怖いよねの具現化から始まるも、人(鳥)を見た目で判断しちゃいけないよと再認識させてくれたハト

・古典的ディズニーヴィランズか!?とミスリードしてくれた序盤のMVPサギ
・ノーセリフで恐怖と笑いを提供してくれたシェフ

・家畜として人生(鳥生)を全うするかと思いきや、まさかの脱出劇からファミリー化したアヒルたち
・完全に忘れたころに、ラストで幸せな伏線回収してくれる渡り鳥ファミリー

キャラ配置に無駄と隙がなさすぎて文句のつけようなし。


【4】ジャマイカ!
すばらしい脚本とすばらしいキャラクターが揃っていても、彼らが向かう物語の終着点で、映像的説得力がなければ感動も半減してしまうこともある。
けれど、本作は、クライマックスのジャマイカの映像が素晴らしくて、多幸感を倍増させてくれました。

光る海/あふれる陽光/色鮮やかな鳥の群れ/端的でスピーディーだが感動的なデルロイと旧友の再会

中盤で、人工的に作られた楽園を一度見せておいてからのこのラストという構成もすばらしい。
素敵です☆


【5】減点要素
マイナス要素がかなり少ない本作ですが、強いていうならキャラクターのビジュアルは好みがわかれるかなという感じ。
可愛すぎる妹グウェン以外のキャラは、デザインも色合いも少し地味な気もする。
(まあ鴨なんでそういう色とデザインなんですが)


■スコア
★4.5で!
ついつい無意識に「正しさ」探しに目がいってしまうことが多い昨今、
魅力的なキャラクターと爽快な映像で、ただただシンプルに幸せな時間を届けるという単純な映画。

マリオ、ウォンカ、そしてこのFLY!
ディズニー映画が失ってしまったかもしれないエンターテイメントの原点を見せてくれる映画にまたひとつ出会えました。ありがとう。

4DXでやってたら絶対に2回目行く!と思ったんだけれどもやってないみたい。
一部、screenXではやってたみたいですね。それ最高すぎる
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