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ザ・ミスフィッツのトルーパーcomのレビュー・感想・評価

ザ・ミスフィッツ(2021年製作の映画)
3.5

#ザミスフィッツ
ハーマイオニーコーフィールドが元007ブロスナンの娘役で出演するお気楽軽快強盗映画。

『スターウォーズ/最後のジェダイ』(2017)で、全SWファンを虜にした我らがブルーリーダーことハーマイオニー・コーフィールドがシネコンで上映される大作映画に出演とあっては見逃すわけにはいかない!

ということで、都内の上映館わずか3館という小規模公開でしたが公開1週目に池袋グランドシネマサンシャイン21時台の回で観てきました。

154席あるスクリーン10で、客入りは30-40人くらいとそこそこ入ってた感じ。


■軽快お気楽強盗映画
冒頭、メインキャラの1人リンゴ(ニック・キャノン)のナレーションで、主人公らチームのメンバーが軽薄すぎるほど軽いノリで1人ずつ紹介されていく。
「あっ!これはポップコーン食べながらゆるゆるな気持ちで楽しむお気楽映画だ」と誰もが開始1分で理解できるオープニング。

基本はオーシャンズシリーズ/ローガンラッキー/ルパン三世etcと同様な、コメディタッチのチーム強盗映画です。

全体としては良くも悪くもベタでありきたりな作りなんだけれど、
スタートからエンディングまでとにかく編集のテンポが小気味よいのが本作最大の魅力。

過去作予習必須/感動エピソードやサプライズも満載/上映時間150分超え、的な大作映画が増えている昨今、
あまりにもペラく軽いノリでわずか94分というコンパクトな上映時間でサクッと観られる本作は「こういうのもいいんだよなあ!」って思っちゃいます。

アイアンマン一作目(2008)の序盤でトニーが調子こいてるあたりのノリが90分続くみたいな感じ。
仕事終わりで疲れた平日夜に、レイトショーでサクッと観たら疲れたメンタルが半分くらい回復して生き返る、そんな作品。


■映像
割と軽くてペラい映画だけれど、映像はけっこう綺麗でした。
エンドロールを見た感じVFXのスタッフ数かなり少なかったので、ほとんどのシーンがロケを多用した実写なんだと思う。

富裕層いっぱいなUAEのシーンは元ジェームズ・ボンドのブロスナンに似合うリッチさがあるし、カーチェイスシーンの砂漠はけっこう綺麗。

前述した通り、テンポの良すぎるほど軽快な編集は秀逸だけれど、絵的な美しさとか印象に残るショットみたいなものはなかったかも。



■キャラクターについて(微ネタバレありです)

◆ペイス(ピアース・ブロスナン)
本作の最大の欠点は、主人公チームのメンバー全体にキャラが薄いというか役者の格/華みたいなものが弱すぎる点にあるのですが、唯一主人公のペイスだけはさすがの存在感。

007で活躍していた頃に比べるとさすがに老けたなあって感じはするけれど、グラスを傾けたりジャケットを脱いだり、ちょっとした仕草が何してもカッコいい。

泥棒としての能力も抜群で、オーシャンズシリーズのジョージクルーニーと比べても見劣りしないくらいの存在感はあったかなという印象。
派手なアクションシーンではなく、テクニックと知恵でピンチを切り抜けていく姿は素敵だし、娘に見せる表情は可愛い。


◆ホープ(ハーマイオニー・コーフィールド)
『M:Iローグネイション』(2015)、『xXx再起動』(2017)、『最後のジェダイ』(2017)
超大作映画に1-2分だけ登場して鮮烈な印象だけ残して出演時間終了、を繰り返してきた彼女の姿が本作ではたっぷりと大画面で堪能できます。

主人公ペイスの娘役で正義感の強い割と真面目なキャラクターなんだけれど、ハーマイオニーは優等生キャラはあんまり似合わない女優さんな気がする。
真面目な顔してるときの演技は正直いってちょっと棒感があるような。

xXxや最後のジェダイでもそうだったけれど、彼女はちょっと悪そうにドヤ顔する演技が魅力的。
正面から見ると絶世の美女ってほどじゃないんだけれど、ちょっと顔を斜めにした時だけ目力があってめちゃくちゃ美人に見える不思議な人。

今作でも、序盤中心に何回かドヤ顔をみせるシーンがあって、そこは最高だった。
ルパン三世っぽい話だし、峰不二子みたいな途中で裏切る系のキャラとかの方がハマったと思う。


◆シュルツ(ティム・ロス)
今回、ターゲットとして金塊強奪の被害にあう愛らしい悪役。
ルパン三世でいう銭形警部みたいに、部下を引き連れて走り回っては主人公チームにしてやられてめっちゃ悔しがるっていうただそれだけの男なんですが、とにかく表情がかわいくて本作のMVP。

彼の姿を見ているだけでチケットの元はとれる気がする。
『パルプ・フィクション』(1994)でサミュエルにチビらされた時以上に情けなくて可愛らしいティムロスが見られます。


◆リンゴ(ニック・キャノン)
陽気でリズム感のあるコメディ担当黒人という、90年代映画かよ!っていう古典的キャラ造形。
セリフで設定を説明し続けるという、退屈になるリスクしかない手法が続くけれど、彼の陽気さでギリ耐えられた。


◆ヴァイオレット(ジェイミー・チャン)
某サングラス映画のパロディを見せつけるアクション要員。
アジア系女優なのでカンフーが強い!っていう古典的キャラ造形。


◆王子(ラミ・ジェイバー)
棒国の王子様なので武器でもジェット機でも車でもとりあえず困ったら用意できますというドラえもんの四次元ポケットを擬人化したような便利キャラ。まあそれだけ。


◆ウィック(マイク・ダンジェロ)
タイ版ジャニーズJr的なアイドル俳優が演じたのは、音楽に乗せて歌い踊りながら活躍するイケメンアジア人男性というありきたりなキャラ造形。

全体的に主人公チームのキャラは演者の人種のテンプレみたいな役ばかりで正直かなり微妙。

役がつまらないのか、演者の演技が弱いのか、はたまたその両方なのか、ブロスナン以外のキャラがとにかく弱くてペラかったなという印象。
似たような感じでも『xXx再起動』はまだ見れたのに、何が違うのだろうか。謎

◆刑務所の所長の人
こいつ最高だった。バーフバリのコメディシーンとか、ロジャームーア版007のしょうもないシーンで出てきそうなすぐ騙される可愛いおじさん。


【スコア】
★3.5で。
映画単体としての評価は3.0くらいかな。
ハーマイオニーコーフィールドをシネコンの大画面で長時間観られたっていうところで+0.5点で。

いちおうシネコンで公開されてる作品なのに、公開日から1週間たった1/28時点でFilmarksのレビューがたったの100件しかないという驚愕の少なさですが、
ハードル下げきってゆるゆるな気持ちで見るぶんにはそんなに悪い映画じゃないと思います。


ちなみにパンフレット/劇場グッズとも販売はナシでした。配給さんやる気なさすぎるのでは...
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