ナツミ

首のナツミのネタバレレビュー・内容・結末

(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

サイコ〜〜〜!!!始まった瞬間から夢中になれて、鬱屈とした気分をすべて吹き飛ばしてくれた、ありがとうありがとう。

沢山の登場人物がいるのに余す所なくちょっとした言動でキャラクターを表現しているのが本当に見事で、すべてのピースがあるべきところにハマっている感覚、痺れた。
そこに挟まる「絶対アドリブよね?」なゆるい笑い。俳優たち楽しんでるやろみたいなシーン好き。
笑ったといえば服部半蔵と斎藤利三の空中戦闘が忘れられない...え、あったやんな?幻覚じゃないやんな...?
ひとりひとりをもっと感じたくて映画館で本を買いました。

戦シーンも大迫力で、命の軽さを笑える温度で見せるのがすごくいい。まず村重の一族郎党皆殺しシーンで吹っ飛ぶ首の勢いがもう見事すぎて笑ってしまう。
戦中にも秀吉が「ちょっと死んで...いやつっこんできてくんない?」って指示だししてたり、押し付けあってたり。
そんな中1人真面目な顔して愛も仕事も辛抱強くこなしてる明智光秀。真面目ゆえなのか若干トチ狂ったところだってある明智光秀。私はなんとなく彼を軸として見ていたので、最終的になによりも天命だと信じて出陣する時はちょっと胸が熱くなった。
信長の「首」をゲットできなかった光秀は、最後それもまた天命と受け入れたのか、自分の「首」チケットを茂助にやる...あの最後の光秀のすっきりとした表情すごく良かったな...。
そんな、首が権力へのチケットになっている世界で、最後に秀吉が首なんてどうでもいいんだよ!と、それ光秀だと思うーーーー!な首を画面外に蹴飛ばして唐突に終わるラスト。首を首以上のものとして扱う世界の狂気に感化されていた私にとって目が覚める一撃だったのだ。たしかに死んでるかどうかだよね。なんで私まで首めっちゃ探して...怖.......。
ラストを踏まえてもう一回見たいけど、何度観ても私はこの世界の狂気に当てられて、茂助ばりに「この首か!その首じゃないか?首ーーーーー!!!!」って思ってんだろうな〜。おお怖。

画的に好きだったのが、光源坊の村と能のシーン、めちゃくちゃかっこよかった!
あの能を観ながら「世界中の全員殺して、最後に自分の首刎ねたら、スッキリするだろうな...」と言った信長。
加瀬亮ってあんなアンミカばりに口角上がったんや?って怯えてたんやけど、なんかあの台詞は彼の狂気を端的に表すリアルな台詞で良かったな。
ナツミ

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