夜中にこの映画を観てしまったのは間違いだった…。
ゴシックホラーとあって、なめてかかってしまったらわりと眠れなくなった。
多重露光、フラッシュバックを多様した映像演出こそがこの作品の一番の見どころであろう。
正直ストーリーは二の次である。
多重露光により、現実ではあったらおかしいところに人の顔などを映すことができ、ザ・ホラーな演出にぴったりである。
しかしそれよりも、何かに取り憑かれたかのような、男の瞳孔の開いた眼が恐怖でしかなかった。
揺れる振り子時計やロウソクの灯り、風で揺れるカーテンだけでなく多重露光により映像自体を揺らすことで不気味さを演出しているはずだが、過剰に感じて少し退屈になってしまった。
男の手元のクロースショットから、心情や緊張感が如実に伝わってくる。
イメージの連続によって状況を秀逸に表現しており、そこのテンポの良さが作品全体の狂気と恐怖を演出するのに一役買っていた。
洋館が完璧なお化け屋敷で、ストーリーというより設定ありきである。
その設定と映像演出により、視覚的に恐怖を十分味わえる。
それはやはりサイレント映画の醍醐味と言えよう。