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落下の解剖学の6のレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.9
事実がどうかは重要じゃない。クソ長く感じる上映時間ですけどこれに尽きる。確かな証拠が無い中で、自分の主観と主観をぶつけ合う。夫婦の喧嘩と裁判がどんどんとリンクしてくるところがすごくミソ。裁判中の埒が開かない意見のぶつけ合いにイラつく感情と、夫婦喧嘩の互いの理論の押し付け合いにイラつく感情がほぼ同義。限りある情報を一つずつ精査して、どちらが正しいのかを決断しなきゃいけない点で確かに裁判と人間関係は一緒っぽいな。結局のところ事実はわからない、これが2時間以上かけてこの映画が導きたかった答えなんだろうから、別に面白いわけないよね。だから俺はこう思う、いや私はこう思う、っていう主観と不確定な要素で世の中は出来上がっているから生きてて疲れるんでしょうよ。この映画を観て感じる疲れこそが人生に疲れることの証明ですわ。正義と悪とか、嘘と誠とか、全てが決まりきっている人生なら何とも生きるのが楽でしょうけど、それじゃ何にも面白く無いんだと思います。確かに俺も事件の答えを知りたくてこの映画を観に行ったし、わかんないことって面白い。その期待を裏切ることがこの映画の役割なんだとしたら、してやられたなって感じっす。要するに、面白い映画では無いです。俺はいつまでもゾンビ映画とか観ていたいな!!
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