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ザ・バニシング-消失-の6のレビュー・感想・評価

ザ・バニシング-消失-(1988年製作の映画)
3.6
スリラーはスリラーでもほとんどコメディ。サイコをできるだけサイコとして描かないあたりにメタ的な怖さを感じるような構造になってる。
人間は生きている限り好奇心を止めない生き物だと思います。何かを追求する俺たち人間の中で、罪人か否かはすごく紙一重で、〇〇したいという思いの〇〇がルールを犯しているという一つだけの違いが社会的に天と地ほどの差を生みます。
「2つの金の卵がぶつかるとき、全てが終わる」
最も悪いことをしたい男と恋人に何が起きたのか知りたい男。違うようですごく似てる二人を交互に描くのは、人間の本質を描くにあたってすごくいい。二人の欲が落ち合うその瞬間が、二人の欲が同時に満たされる瞬間で、それがあの結末だと思うとすごく皮肉だしやりきれない。
俺の好奇心は社会的に良い人生を全うさせてくれるような、ルールを守れる運の良い欲だと良いな。欲なんて自分でコントロールできるものではないけれど、罪人と自分も紙一重なんだと自覚して生きていきたい。自覚しているからなんだという話だけど、知らないよりは、ずっといい。
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