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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースの6のレビュー・感想・評価

4.9
ちょっと半端ないもの観たな。歳を重ねるに連れてアニメのクオリティが上がっているのが手に取るようにわかるのが今なんですけど、これを超えるアニメ作品は向こう十年現れないと思うレベルでした。もはや技術云々だけじゃなくて、気概と愛。どこまでやるんだって、もう休んでよってくらいの2時間。豊かな色彩やタッチと、何でもありな世界観が見事にマッチしていて、この映画でしか観れない映像がたんまり観れる。この映画飽和世界で、コレでしか観れないってものを生み出すことがどれだけ凄いことなのか、俺もきっとわかっていないです。とても一度では勿体ないので、すぐにでも劇場にカムバックします。

と心の決めて舞い戻った劇場でしたが、1度目よりも楽しかったのが何より素晴らしい。それはストーリーとしての充実度に目を見張るものががあるということの現れだと思います。アクロス・ザ・スパイダーバースと言うだけあって、様々な人、物語、思惑が交差していく今作。
自分は一人じゃない、みんなが普通でみんなが特別なんだよというメッセージを送ったはずの一作目から、自分の居場所を失ったマイルス。そこから、自分と運命、自分と家族、自分と自分自身といった複数の主題へと繋がっていきます。こんな困難、、、乗り越えられるの、、?って感じでして。これまでのスパイダーマンは常に辛い運命を辿るお話でした。辛い過去を背負いながらもマスクを被ればおしゃべりでコミカルなキャラクターになる姿すごく印象的ですごく好き。その運命を変えようと藻掻く姿に、心打たれる。「何事も初めてはあるよ」その初めてになろうとするマイルスが若くてエネルギッシュで、なりたかった自分を投影すると涙が出てくる。映画は自分に成し得ないことを体験する場所だから、綺麗事でも何でも良いよなって思っちゃう。この苦難、乗り越えてくれ!!とボルテージ最高潮のところで終幕を迎える今作。次作のサブタイトルが「ビヨンド・ザ・スパイダーバース」じゃあ期待するしか無いじゃないの。不条理で苦しいことばっかりでも動けない俺達のために、すべてを乗り越えてくれスパイダーマン。しんどい現実から少しでも救い出してくれるスーパーヒーローになってくれスパイダーマン。正真正銘のヒーロー映画へと変貌をとげる続編の期待を考えると、来週でも待てないよと思わせてくれる傑作でした。
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