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スノーピアサーの6のレビュー・感想・評価

スノーピアサー(2013年製作の映画)
4.1
極寒のディストピアで生み出す人類の縮図。世界観のワクワク感もさることながら、中々エグみを増すストーリー展開も結構ツボ。人と人の格差を、車両をセクションとして分かりやすく描く観客思いの脚本である。
生まれ落ちた場所に永遠に囚われなくてはならないという使命なんて人には一切ないんだけど、凝り固まった思考と状況を脱するには多大なる勇気と体力が必要です。この映画における善と悪は確かに不確かで、それぞれのセクションの人間達は自分の育った環境で、そこでの生き方を学んでいるのだから、他の世界を知る由もないわけです。
だからこそ最後の展開が効いてくると言えます。前と後ろにしか進めないと思い込まされる列車というシチュエーションは、外に出るという選択肢を排除し、見事なミスリードを遂げていました。俺達が生きているこの世界でも、これが良くてあれが悪いという誰が言い出したのかもわからないような固定概念が多くあると思います。本当の答えはもっと違うところにあるのかも、そう思わせてくれるラストのシークエンスは物語に広がりをもたらす素晴らしい終幕だったと感じました。その答えすらも正解かはわからない。わからない世の中で生きている俺達は、答えを求めすぎる世の中で今もなお藻掻きながら終わりの見えない列車を走らせ続けていると言えます。
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