あっきー

落下の解剖学のあっきーのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
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淡々と話が進む中で、浮き彫りになっていく夫婦間のトラブル。それと向き合うことを余儀なくされる息子。

あまり突飛なことはなく、謎解きが快感を呼ぶミステリーでもなく、とにかく人間ドラマに終始する本作。妻がドイツ人、夫がフランス人で家庭では英語を話すというミックスな設定が面白く、裁判シーンで検察側のフランス語の質問に英語で回答する場面が印象的だった。異なる言語で殺人事件の真実を追求するユニークさ。なぜなら言語が違えば、同じことを指す言葉だとしても意味が違ったりして、すれ違いも起こるはず。そこには明らかなものなどなく、主観と客観の境界について考えさせられる。

何かどんでん返しのようなクライマックスを期待すると肩透かしをくらうが、息子に対して法廷で明かされる両親の問題と、自分にかかる重責に対してどのように対応するのかという点において、力強い人間ドラマだった。
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