うめまつ

劇場版 優しいスピッツ a secret session in Obihiroのうめまつのレビュー・感想・評価

4.6
帯広の重要文化財であるレトロな元幼稚園で、無観客の中淡々とセッションしているシンプルな映像(1曲毎にミニMCが入るゆるさ)だけど、窓越しや扉の影からこっそり覗き見している座敷童気分になれるし、ライブやMVとも違ってそこに曲と自分とスピッツしか居ないような不思議な感覚に包まれる。2曲目の『冷たい頬』で早々と泣いて『ハヤテ』で会いたい気持ちが膨らんで『Holiday』で全然まともになれずに『空も飛べるはず』で時空を超えて『ガーベラ』でありのまま受け止めて『名前をつけてやる』でブチ上がってまんまと『運命の人』になれます。でもラストにくっつけたメイキングとインタビューは、コンテンツとしてはありがたいけど作品としては蛇足だったかな。

スピッツのこと、人生を投げ出さないように優しく見守ってくれる妖精だと思っているので、どうかこれからも末永く仲良くゆっくりまったり活動して欲しい。

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そして何とここから、本作と全然関係ない『2023-2024ひみつスタジオツアー』の膨大なレポを自分の記録用に書くので、興味のない方は速やかに閉じてください。

2023.12.20 名古屋ガイシホール

●二曲目の『ときめきpart1』の出だしでマサムネさんが咳き込んで曲を中断する。非常に珍しいトラブル。調子良くないのかな?今日のライブ無理なのかな??と一瞬不安に包まれる一万人規模のホール。ご本人曰く「年相応の誤嚥」との事で、田村さんが「丁度歌詞も 〜会うたびに苦しくて〜 のとこだったしね」と笑いを誘いつつ、少し臨時MCして立て直して再開。その後はばっちり歌えていらして流石だった。

●マサムネさん曰く「中学生の頃お年玉でスケボーかエレキギターを買うか悩んだけど、あの時エレキギターを選んだおかげで皆さんに会えました。でもそのスケボーへの夢が捨てられず、今回のセットに巨大スケボーを置いてもらいました。」とのこと。次はステージでハーフパイプを披露してくれるらしい。(大嘘)

●全員年齢を感じさせない脅威的なパフォーマンスだけど、年々崎ちゃんの凄さに圧倒される。終始にこにこ笑いながら56歳が叩くドラムじゃない。年末のサスケで優勝出来そうな太い二の腕してる。アスリート級のトレーニングをしてるに違いない。その風景が見たい。

●田村さんは歳をとっても「田村」と呼び捨てにされたいらしい。その方がバンドマンっぽいから。アンコールで出て来た時オーバーオールに帽子被ってたから、「(フラカンの)グレートじゃね?」と自分にツッこんでた。ちゃんと中にTシャツは着てた。その後帽子をぺって脱ぎ捨てる動きが五歳児のそれだった。

●逆に三輪さんは渾名で呼ばれたいらしい。人生で唯一ついた渾名は「アンジー」らしい。確かにやたらアンジーっぽい。もうアンジーにしか見えない。次に名古屋に来るまでに良い渾名を考えてくるよう、皆んなに宿題を出してた。

●マサムネさんは草野という苗字があまり好きじゃない(!驚愕!草野仁さんと並んで日本一似合ってるし、全国の草野さんの誇りなのでは?)から、佐藤さんか鈴木さんに改名したいらしい。そのうち鈴木マサオさんになっているかも。誰や。

●クージーがメタリックのスガキヤトートを自慢しててめちゃくちゃ可愛かった。名古屋民じゃないけど欲しい。ライブグッズ以外を宣伝するサポートメンバー最高。

●藤井風の『きらり』ちょこっとカバー(田村さんのベース追加ver.)、ゆずの『栄光の架け橋』とスキマスイッチの『全力少年』のメロディにそれぞれ『チェリー』の歌詞を乗せて歌うというミックスカバーをちょこっと披露してくれた。最後は全力チェリーになってた。(恐ろしいサービス精神。。)

●今年のスピッツの漢字一字は『鰭』だそう。『美しい鰭』の鰭は「ヒレ」だとステーキみたいだし、「ひれ」だとちょっと弱い?から皆んな読めないけど漢字にした。

●テルミンと会話してた。テルミンが一番好きな名古屋飯はあんかけスパのミラカンらしい。

●セットの巨大いちごを見て、昔のいちごは甘くなかったから牛乳と砂糖かけて食べてた。とお爺ちゃんみたいな事を言ってた。

●「行くぜ名古屋ー!」とか「俺たちの熱い魂を受け取る準備は出来てるのか!?」とからしくない事をらしくない風に言った後「自分が自分じゃなくなるみたい」と不安がってた。

●バースデーソングは元々は「グッドモーニングトゥーユー」という歌詞を「ハッピーバースデー」に変えて歌ったのが由来だと豆知識を披露。そして「明日で全員56歳だけど、まだまだバンドを続けて行くつもりです!」と言ってくれた。来年も生きる。

●観客に向かっての「生まれて来てくれてありがとうございます」は10000000000000倍にして返したい気持ちになった。

●アルバム曲以外に懐かしい『スーパーノヴァ』『サンシャイン』『僕の天使マリ』を聴けて幸せ過ぎて耳が蕩けた。毎回ライブが良過ぎるので『夜を駆ける』と『8823』は聴けば聴くほど好きになる気がする。『みなと』も最高だったけどまた珍しく歌詞がまるっと飛んでいらして、その後のMCでその部分を歌い直してくれた。(生きてるだけでありがたいのに、律儀過ぎて泣ける。。)

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2024.01.17 大阪城ホール

●今日は直前に食べたりくろーおじさんのチーズケーキで動いている。味は福岡の赤い風船のチーズケーキといい勝負らしい。

●「こんなに大きないちごをセットで飾ったのはスピッツだけだと思う。」と言うために、一番あり得そうな「きゃりーぱみゅぱみゅ いちご セット」で検索したらしい。クージーが「(いちごで)ボルダリングできそう」と言ってた。それくらいでかい。

●アリーナツアー最終日なので、このセットも今日で解体になってしまって寂しいという話から、ラストはこの(ペンチに挟まれた)いちごを絞っていちごジュースの海に全員溺れる、というシュールなクライマックスを提案していた。「いちご汁ブシャー」としっかりふなっしーも入れ込んでた。

●『青春生き残りゲーム』は20数年ぶり?らしい。「(草)だから次演奏するのは80歳くらいかな?」「(三)そしたらもう『老人生き残りゲーム』じゃん」「(草)いや、80歳でも青春を感じていたいですね(キラリ)」「(三)良いこと言うね〜〜」というネタみたいなやりとりしてた。

●何百回と聴いてるしライブ定番曲なのに、今回の『楓』が沁みすぎて圧倒された。今ここに永遠があると思った。自分の心臓の音がドクドク聴こえて、もう少しで不整脈を起こしそうだった。控えめに言って、恋。

●マサムネさんがイヤモニを抑えたり、ギターを持ってない時ヒラヒラさせる手が異常に官能的である件について、論文を書きたい。(そういう目で見て本当にすみません)

●今年は主題歌担当してないのに、ちゃんとコナン君の新作映画の宣伝してた。偉すぎる。

●田村さんは『美しい鰭』の歌詞読んだ時「灰原哀じゃん!」と思ったらしい。そのオタク発言後、しゃがみ込んで恥ずかしがってた。そして三輪さんに「あんなに走り回ってるのは恥ずかしくないのに?」とツッコまれてた。

●タイアップは難しいという話になり『スターゲイザー』であいのりの主題歌をやった時(と言ったら、会場全体があぁ〜〜。。(察し)という空気になって面白かった)エゴサしたら「前のI WiSHの曲の方が良かった」という意見が多くショックだったけど、確かにI WiSHの方が似合ってたな、と思ったらしい。

●セットの階段をぐるっと使って「夜のヒットスタジオ」ごっこしてた。(ゲスト:柏原芳恵さん) あまりにも滑らかな進行だったから、多分家か楽屋で練習している。

●『チェリー』の歌詞を別の曲のメロディに乗せる替え歌シリーズ、今回は高槻市出身の槇原敬之『どんなときも』だった。ちゃんとサビ終わりの「抱きしめて(たい)〜」のとこを合わせて来てたしなんならちょっとモノマネしてた。毎回出身地まで調べて仕込んで来てくださりありがたい。沖縄ではBEGINだったらしい。聴きた過ぎる。円盤にご当地版全部ボーナスで入れてくださいませんか?

●「皆さん立ちっぱなしで足腰大丈夫ですか?」と定期のご配慮を頂いた後「軟骨は消耗品と言います」と実感たっぷりのコメントしてた。めちゃくちゃわかる。

●三輪さんはおばあちゃんっ子。衣装と照明と映像の演出効果が合わさったのか、三輪さんだけやたらキラキラして見える瞬間があって何度か目をこらした。

●崎ちゃんに今日も袖はなかった。そしてコーラスじゃない時もよく歌ってるので、見てるとにこにこしてしまう。崎ちゃんが「今年から競歩を始める」という話をしたら、アンコール後は崎ちゃん&田村さん&三輪さんは競歩ではけてた。みんなが無事に家に帰るまでがアリーナツアーだそうです。

●今まで田村さんは50mのコードを使って舞台上飛び回ってたけど、流石に今回のセットでは無理となりベースがワイヤレスになった。『8823』の時光の速さで移動してて全然目視できなかった。もう誰もリーダーを止められない。オーバーオールの肩紐が何度も落ちて最後は肩から外してた。わんぱく過ぎる。

●田村さんが解き放たれた事から「ステージは僕らのドッグラン!」の名言が爆誕してた。ファン以上に自分達のことをワンコだと思ってて可愛いので、メンバーを勝手に犬種に当てはめてみた。(もはやレポではない)

マサムネさん:日本スピッツ (流石に外せない)
三輪さん:アフガンハウンド (完全に一致)
田村さん:ジャックラッセルテリア (無尽体力と愛嬌)
崎ちゃん:セントバーナード (でかくて優しくて最高)
クージー:キジシロネコ (犬のまとめ役は当然猫)

●最後の言葉が「またお会いしましょう」じゃなくて「またお会いしたいです」なのがいつもじーんと来る。これだけの人がライブに来てくれることを当然だと思っていない、そして行きたくても様々な事情で来られない人が居ることも全部、この祈りのような一言に込められている気がする。


ここまで読んでくださった奇特な方、ありがとうございます。これからもどうぞスピッツを宜しくお願い致します。
うめまつ

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