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哀れなるものたちのHKのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.2
年明けからあまり観たい新作映画がなくて、1月は劇場はパスかもと思っていたら、本作の先行上映を当日みつけて仕事帰りに鑑賞。
今年1本目の劇場新作は、当たりでした。

ヨルゴス・ランティモスの長編を観るのはこれで5作目。
私はアリ・アスターやジョーダン・ピールあたりはどうにも合わなくて、もう新作を観る気もしないんですが、ランティモスは『聖なる鹿殺し』を観て以来ずっと気になっており今回も観て正解でした。

これまでは『聖なる~』がダントツだと思ってましたが、抜いたかも。
不気味なインパクトとイヤ~な緊張感はあちらが上ですが、本作は相変わらずのトンデモ展開ながらファンタジックな映像美と変に外した音楽と名優たちの競演、久しぶりにいろんな楽しみが詰まった映画を堪能した気分。しかもランティモス作品にしては予想外に後味スッキリ。もちろんエロ・グロ・ヘンタイ映画ではありますが。

詳しい分析や難しい考察のレビューは得意な人におまかせするとして、私は勝手にキューブリックが『フランケンシュタインの花嫁』を撮ったらこんな感じかもとか、ティム・バートンのゴシックテイストもあるなとか、広角レンズのカットの繰り返しが実相寺っぽいなとかいろんなことを考えながら楽しみました。
そういえば、今回もいろんな動物が出てきましたね。

エマ・ストーンの振り切った怪演(歩き方は“裸の大将”?)。
マーク・ラファロの胡散臭さとシツコサ。
ウィレム・デフォーの素顔の迫力・・・え、あれメイク?

一見非道徳的だけど実は道徳的。
これまでに観た中では最も明るくハッピー(?)なランティモス作品・・・でした。
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