ちょっと毒っ気ある『バービー』。本作もバービーも描き方が違って面白いよなあ🙂
若い女性ベラは自ら命を絶つが、天才外科医ゴッドウィン・バクスターによって胎児の脳を移植され奇跡的に生き返る。「世界を自分の目で見たい」という思いに突き動かされた彼女は、放蕩者の弁護士ダンカンに誘われて大陸横断の旅に出る。ベラは貪欲に多くのことを学んでいく中で平等や自由を知り、時代の偏見から解放され成長していく。
ヨルゴス・ランティモス監督の中でもかなり観やすい作品だと思う。フェミニズムを描いた下手な映画は女性を過度に立てるあまり、男たちが単に無能に描かれてることが多いが…いや今作もそれはなくもないけど笑、設定上、主役のベラが不完全で自由意志を学んでいくため非常に感情移入できました。
不完全だからこそ、今作の男はベラを自分自身の理想に作り上げようとしてうまくいかないと発狂するのが滑稽で面白い。ダンカン役のマーク・ラファロがめちゃくちゃ好演してて「君は世界を知るべきだ」みたいなこと言ってるけど基本はセックスしたいだけっていう。ベラが本を読んで知識を得ようとしてると海に投げ捨てるの良いよね。すぐさま新しい本を渡す婦人がナイス笑。
あと衣装と美術が本当に素晴らしい。エマ・ストーンのスタイルが良いから奇抜な服装もまあ似合うこと。『女王陛下のお気に入り』もかなり衣装良かったよね。カラーとモノクロの使い分けも見事で、美しい画面に終始釘付けだった。ベラが身を投げる場面で初めてカラーになるからすごく印象に残るんだよね。
いま公開している映画なら間違いなく最優先で観る映画だと思います。エンドロールの作りもめちゃくちゃ凝ってる。最近のフェミニズムを扱った作品でもトップクラスに面白いし、個人的にはランティモス監督作でも一番好きになりました。R18+ではあるけど内容的には若い10代の女性こそ観るべき映画だと思いますね。傑作でした！
