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シチリア・サマーのlololoのネタバレレビュー・内容・結末

シチリア・サマー(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

先日観た「蜂の王」が1960年代のイタリア。そして本作は1980年代のイタリア。同性愛が故に“教唆罪”で裁判にかけられた「蜂の王」のアルドと、酷い迫害を受けて最後には何者かによって殺された「シチリア・サマー」の二人。年代は違えど、人の中にある“自分の理解を超える相手に対する不寛容と過干渉”の愚かさを改めて実感した映画だった。

無邪気でずっとニーノの周りをちょろちょろしてたのに、どこか不穏な空気を出し続けていたトトがずっと気になっていた。ニーノのことをいつも気にして、ニーノがジャンニと親しくなるほど孤独感に苛まれているような様子が意図的に描写されていたからだろう。
狩りの銃を怖がっていたのが、最後はウサギを捕まえられるようになって…と思ってからの結末で鳴り響く銃声に、まさか、と思ったら。
本作のモチーフになっている実際の事件“ジャッレ事件”では、亡くなった青年二人のうちの一人の13歳のいとこが犯人だったとか。(だけど本当にいとこが単独でやったのかは不明で真相はわかってないらしい。)
作中のトトはもっと幼く見えたし、本作では直接的な描写がないからわからない。でも、事件のことを知らなくてもうっすら勘付くことができる仄暗さや背筋に走る寒気が恐ろしかった。

ジャンニ役のサムエーレ・セグレート、どう見たって立ち姿で姿勢が良すぎるしバレエダンサーかしらと思っていたらやはりダンサーとして人気のある人だったらしい。プロは居ずまいからして違うんだなぁと感心した。
ニーノ役のガブリエーレ・ピッツーロは舞台役者で、映画は本作が初出演だったとか。優しげな表情が印象的で日本でも人気が出そうだと思った。
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