kuu

PARIS(パリ)のkuuのレビュー・感想・評価

PARIS(パリ)(2008年製作の映画)
3.5
この映画って人生の儚さ脆さと刹那的幸福が心の奥にしみ入るハイソな群像劇すねぇ。豪華なフランスのキャスト陣が嬉しいし、色んな人達のパリでの人生模様が有り、哀愁と自分ひとり支えるのに、四苦八苦している様が垣間見れる。せやけど、必死にもがいている時に触れる魂と魂の交流に至福の幸せが見て取れて何故か心が疼いた。んで、ロランがレティシアの姿を追いかけながら朗読する詩は、どこかで聞いたことがあるは!と思ってて、思い出したボードレール。『悪の華』の『禁断詩編」《あまりにも陽気な女(ひと)に》やぁ!
   ボードレール作 
     kuu ことGeorge 愚訳
お前の頭、お前の仕草、お前のそぶりは 美しい野辺のようや。
お前の顔に浮かぶ笑みは
澄んだ空気の中に吹く風のように気まぐれ。
お前が時折浮かべる悲しみは
お前の腕や肩から
ほとばしる閃光のように
お前の健康の前にかすんでしまう。
お前が化粧室にまきちらす
色の交響楽は
おれの詩人の魂の中に
踊る花々のイメージを投げ込むわ!
このイカレタ衣服の数々は
気まぐれなお前の象徴。
この気違い沙汰はおれを狂わせ
おれは愛するのと同じくらいの激しさでお前を憎んでしまうわ。
時々おれは美しい庭を
無気力にうろつきながら
まるで皮や肉か何かのように
太陽がおれの胸を引き裂くのを感じたものや。
ほんで春と緑がおれの心を
ひどく侮辱したものやから
おれは花を踏みにじることで
自然の無礼を罰してったのや。
そしておれはある夜、
みだらな鐘が鳴る時刻に
お前のお宝めがけ、
まるで臆病者みたいに音もなく、這っていきたいと願うのんや。
お前の愉楽の肉を罰するために
お前の言い訳がましい胸に傷をつけてやるために
ほんで無防備なお前の局部に不意打ちを食わせ
大きく切り裂いてやるために
ほんでめくるめく甘美!
より光り輝く、より美しい
新たなくちびるのあいだを突き抜けて、
おれの毒蛇の唾液をお前の中へ発射したいのや、おれの妹よ!
kuu

kuu