想像してみます。
殴っても殴られても、痛みは続くよ。
鉄から刀、そして銃、「都市」を経由し、
「心と身体」の痛みに向かい続けてきた塚本監督作品。
「人を殺す」可能性を示唆するあらゆる暴力的なものをモチーフにしつつも、
「暴力そのもの」ではなく、その暴力を受けた側のその後の変化自体に焦点を当てたものが多いです。
今回もその系譜。その先を描きます。
戦争を扱っていますが戦争自体を描くことと少し違うものだと捉えています。この辺りは
戦中の「野火」、戦前の「斬、」含め三部作として捉えると解像度が上がるかも知れません。
敗戦後の闇市。
身体を売って生き延びようとする女
暴力によって生き延びた男
暴力によってけじめをつける男
子供の目線を通じて三者三様の戦争への向き合い方を描く展開なのですが、
その目線故、それぞれの思いや具体的な事象が明らかにされていないところがあります。
この展開に対して、正直にいうと戦後当時の生生しさを感じたいというところはありました。
ですが、
戦場の恐怖、売春宿の具体的営みをあえて全て描かず、その末路だけを描き、それ以前の事象はこちらの想像に委ねるという展開は、映像以上により恐ろしい深い世界にの入り口に触れることになるきっかけになるかも知れません。
劇中の子供でもきっと同じことで
そもそも、なんでこうなったのかなんてわからないし、
今後もどうなるのかなんてわかるわけがない。
全てのひとに寄り添えるわけなどできやしない。
でも一緒にいれば、
どんな地獄があったのかは、想像するようになるはず、、。
あえて描かないその先の世界に希望と呼べる何かを見つける時が来るとしたら、
「この先に何があるのか」という想像力の働かせ方次第かも知れません。
わからない。わからない。で突き進んでいくと
普通に考えると絶望的な世界しかないように思えます。
そうならないようつとめるためには、何かを感じ取るということはとても重要。と思わせる一作でしたね。
いつの間にか大晦日。。
2024年も皆様にとって良い年でありますように。
コメント不精な私に、いつもご親切いただきありがとうございます。
来年もよろしくお願いします。