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ジェイコブス・ラダーのkoyamaxのレビュー・感想・評価

ジェイコブス・ラダー(1990年製作の映画)
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侮れない恐怖。

ベトナム帰還兵、PTSDに悩まされ、
夢と現実を彷徨う先を描く。。


エイドリアンライン監督といえば、
「ナインハーフ」「危険な情事」
「謎の異性に出会ったことで異常体験をする」2作が有名でしたが、


ここではもう少し踏み込んで、
「日常から逸脱してしまった人間に襲いかかる恐怖」を描きます。

全部見ているわけではありませんが、
「脱線するつもりもなかったのに脱線してしまった人間の物語」を描くという一貫した視点を持っているように思えます。
(ややこじつけですがフラッシュダンスでさえ、やればできるのに挑戦をせず甘んじた現状を描いているのでその一環とも言える気がします、、。)

これまで、「ナインハーフ」の謎の男、
「危険な情事」のやばい女と迫ってくる存在がどんな存在かは、わかっていたのですが、

今回は、、、
何の脅威に晒されているのか全然わからない。汗

でもやばいことは確実に伝わる。
誰かに命を狙われているのか?
自分が異常なのか?
超自然的現象に飲み込まれたのか?
はたまた何かの陰謀に巻き込まれているのか?

主人公に迫ってくるものがなんなのかさえわからずに、
PTSD、都市伝説、サイコサスペンス、オカルトホラー、ポリティカルサスペンス恐怖の質が変容し続ける、予想の上をいく展開が続き、全然目が離せませんでした。

エイドリアンライン監督の得意フィールドであるサスペンスは少し地味め、特にイメージが強い不倫ものというのも、未成年立ち入り禁止な感じな為通常のエンタメより間口が狭い気がしますが、
「袋小路に陥った人間を徹底的に追い詰める描写」はほんとすごいと思います。
演出技巧だけでなく、ビジュアルに落とし込むやり方も唸らされること多く、
もっと評価されていい監督のような気がします。個人的に。エイドリアンラインは巨匠。
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