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運命の女のkoyamaxのレビュー・感想・評価

運命の女(2002年製作の映画)
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運命の女というか不貞の女。(原題もこれ、不貞。ストレートすぎる^^;)

あの日あの時あの場所で出会わなかったら、、
二人はあのときのまま、、、。

どこかの月曜9時みたいな導入ですが、

いっちゃ悪いのですが、凡庸なタイトル(^^;
展開も不倫サスペンスというジャンルものではありますが、

演出は、、
普段入らない、街の片隅に地味に存在している高級寿司店の
本気と矜持を真正面から味わってみたような、
外見から窺い知れない奥深さがありました。(なんだそれ


子供がいて、夫とも円満。これ以上ないくらいの幸せな家族。
様々な理由が奇跡的に積み重なって、
幸せで過不足ない日常からかけ離れた彼岸にいってしまう女の話ですが、、


男女が男女の関係になるためには、それなりの尺とプロセスが必要だと思うのですが、
短い尺の中で、本題に入る前の「突然ラブストーリーが始まる」その鮮やかな説得力。

その説得力の名は「天気」。。

同じ監督の「危険な情事」もそうなんですが、
この天気だったら、
こんな日常を送るその一日の隙間なら、
出会ったばかりの男と女がくっついてしまうよな。という妙な説得力があります。

もちろん色々な伏線を構築しているからこそですが、この天気になったときからこれまでと違う異界に入り込んだという現実離れした怪異譚としても括れるようになっていて、
エイドリアンラインの導入の仕方は毎度ただものではないと思わせる何かがあります。


不倫ゆえの
バレたくないときにバレそうになるあたふた緊張感。
エロくてピンチ、不幸でピンチ、捕まりそうでピンチ
とにかく基本バレたらピンチ、の波状攻撃で見ている最中から、
いまとんでもない所業を目の当たりにしている!という背徳心に導かれます。
同じ経験をしているわけではないんですが^^;


ただ、この顛末をどううまく回避するかだけでなく、
サスペンスの背景にある「後悔」がテーマとしても浮き彫りになっていきます。
でも途中から後悔があっても引き返せないその切なさ。

そしてその「後悔」がその新たな代償を生むというかたちで、
途中から意外な変遷があり、、

ここからが怒涛の展開でしたね。

徹底して不倫する悲惨さ、愚かさを描いているはずなのですが、

この状況をどう切り抜けるかというサスペンスから
不埒な隠し事は、たのむから今きづかないでくれー!
とやがて、傷つけたくない相手を思う願いになり、、
うねりまくる、アクロバットな愛の表現方法と化す展開に打ちのめされました。

まあ、最初から不倫するな!
っていうおさわがせ展開であることには違いないのですが。

エイドリアンライン。侮れません。
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