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ヒッチコックの映画術のドントのレビュー・感想・評価

ヒッチコックの映画術(2022年製作の映画)
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 2022年。原題は「私の名前はアルフレッド・ヒッチコック」。タイトルの通り、サスペンス映画の王ヒッチコックの映画、技巧、人生などをぷちぷちと摘まんでいくドキュメンタリー。
 ヒッチコックに似た声の人がヒッチコック自身の如くナレーターとして語らいつつ進んでいく。その人を食ったような作りは面白い。というかそのアイデアだけが面白い。邦題には「映画術」とあるけれど技巧に触れるのは4割か半分ほど。あとは考え方やら人生やらにふらふらと寄っては返す。
 どうにも締まらない映画である。ヒッチコックの技術、テクニックをつまびらかにしていく映画にしては夾雑物が多い。一本の作品としての軸がゆれゆれだし、旨味にひどく乏しい気がする。時折インサートされる現代の風景はアクセントのつもりだろうが、ヒッチコックの名を冠しておきながら映像に緊張感がないというのはどうしたことか。
『映画術』があって、『ヒッチコック/トリュフォー』があって、せやったらその先かより厚みのある何がしかを見せてもらわねばこちらとしては納得できないわけである。何せこちとらヒッチコックの名に惹かれて観ているわけなのであるからして。
 他の本や映画、何だったらYouTubeで素人やセミプロが解説している動画と比べても、秀でたところがちょっと見当たらない。どうなんですかね? これを2時間観るよりは映画に詳しい人やえらい人にキーワードやキーポイントを与えられて、ヒッチ映画本編を通して観た方が10倍くらい面白いのではなかろうか。ちょっとねぇ。なんだかなぁ。
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