メイプルわっふるG

オカルトのメイプルわっふるGのレビュー・感想・評価

オカルト(2008年製作の映画)
4.3
通り魔事件の生き残りが「神の啓示」を受け日常的に奇跡を見るようになる。映像製作会社も撮れ高に満足。しかし彼は選ばれた人間として使命を果たそうと策動していた。

宇野祥平さんが素晴らしい。風貌も言動(役柄)も、もう存在そのものが良いキャラクター。KOC今野浩喜さんや伊武雅刀さん似に見えたところも人物評に不穏さ増量(双方の良い意味で)。
見窄らしいネカフェ難民から、次第に図々しさがエスカレート。タダ酒タダ焼き肉もらいタバコには遠慮なし。雇い先に対等な関係を強要。僅か20円を切り詰めたり、借金100円を言及したりと細かなセコさも有り。

唐突に現れる鈴木卓爾さん、知識人としての黒沢清監督もとても良い味。

そして終盤の白石ワールドにヒャッハー。
ラストは直近に見た『恐怖奇形人間』を彷彿とさせ、名作との相似が真面目コミカルを却って怖くさせる。どちらも笑えると言えばそれまでなのだけれど。

もちろんモキュメンタリー映画として終始面白かった。後半の二人の友誼はディストピアでハイになった若者たちのよう。キャストをイケメンに代えたら青春モノの耽美なフィルム・ノワールになるかもとは言い過ぎか。

作品としては中年おじさんの方が人生の深みがあって好み。「白石くん」との共同作業で、母親からエロ本隠す中学生かのような慌てぶりは、おじさんたちだからこそ面白い。

製作年頃の社会面が影響しているのは、先日見た『ゲット・アウト』を想起する。いや、あれほど大きなテーマでも思想でもないんだけど。
土浦連続殺傷事件、八王子通り魔事件、秋葉原通り魔事件など、無差別な通り魔事件。
狂牛病や牛肉偽装事件を発端とするチェーンストアの苦境。
渋谷の早朝カラスは確かに凄かった。今作でもCGではなく実物のカラスの大群。飲食店のゴミ出しとか今は厳しいんだろうな。

そんな時代の出来事を、歴史記録のように作品として残せたのはアリだと思う。もちろん、今作が後の白石作品にも関わってくるという点においても外せない一品。

memo
妙ヶ崎通り魔事件 飛び降り 被害者生き残り 犯人によるスカリフィケーション
御昼山 お蛭山 九頭呂岩(くとろいわ) 九匹のヒル 黒沢清監督 各地の遺跡研究 神代文字 線刻文様 
ヒルコ 日本神話 初めて神が生んだ子供 奇形 手足なし 形状ヒル
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