歴史上のさまざまな独裁体制の隠喩として観ることは可能なんだけれど、韓国で作られた本作は、端的に北朝鮮批判の映画ということになる。
一部の特権階級のみが快適に暮らし、そとの社会では大勢の人々が凍死や餓死をしている。
その特権階級による搾取。
密告の横行。
そして、指導者の経歴詐称。
実は本作を観た時点で経歴詐称だけは何を表しているか理解できなかったんだけど、先日「ビヨンド・ユートピア 脱北」を観てようやくわかった。金日成が聖書のさまざまなエピソードを引用して、自分の経歴を偽ったことを示しているわけだ。
それがバレるといけないから北朝鮮では聖書は禁書扱いになってる。
本作は2021年の作品だが、日本では今年公開。というかまだ劇場に掛かってるんだけど、続篇の「バッドランド・ハンターズ」もちょうど今鑑賞可能なのが面白い。
「バッドランド・ハンターズ」は本作の3年後という設定らしいが、マンション住人による独裁体制は崩壊してるんですね。
どうやら軍人が入ってきて、元の住民たちは一掃されたみたい。
軍人による治安維持とマッドサイエンティストの登場。
となると、これはどう観たって「死霊のえじき」。まあ、マッドサイエンティストと軍人の力関係は逆転してるけどね。
「序盤で唐突にワニ」というのが、ロメロ師への律義な仁義になってて、好感が持てる。
なによりも、こっちはマブリー兄貴が主演のアクション映画になってるので、真面目でシリアスな本作と両方見較べるのがおススメです。