北斗星

メンゲレと私の北斗星のレビュー・感想・評価

メンゲレと私(2023年製作の映画)
-

ホロコースト生き残り証言者シリーズ3
ドキュメンタリー

「ユダヤ人の私」
「ゲッベルスと私」
本作、「メンゲレと私」

ダニエル・ハノッホ 91歳
ホロコーストサバイバー

『感情豊かだと生き残れない』
『サディスティックで残虐なのはドイツ人の気質なのか?』


ハノッホさんが最もキツかったこと
・一般人のごくごく普通の顔をした人たちが残酷だった。
・カニバリズム
オーストリアにいた時、ルーマニア人が…。
・人の生死を選り分けていたメンゲレ、軍服やブーツなんかをピシッと着ていたが、顔を見るとミイラのようだった。
・死の生産ラインに居たこと。毎日毎日、死体の山をカートで1日中運ぶ仕事。
赤十字が偵察に来たが助けてくれなかった。誰一人助けてくれなかった。
・人間を番号で呼び管理すること。人の尊厳を完全に否定する行為。


44ヶ月、何とか生き抜く。


その後アメリカに渡った後、イスラエルの地へ。奥さんに出会う。心から幸せそうに微笑んだ。

ハノッホさんがよく聴いていたと言うエンディングに流れた唄は、ロシアの唄だった。


ほぼ独白だったが、ラストまで聞き入ってしまう。撮影はバストアップのみ。ライティングが非常に美しかった。


老いても若い頃は整った顔立ちだったとわかる。幼少期は人目を引く金髪の美少年だったようだ。
労働力のない子供が生き抜く術は、恵まれた容姿と、恐怖を他人に見せず自分を強い人間に見せること。
この2つでホロコーストを何とか生き延びた。


声を荒げることもなく、終始穏やかだか、
人の心の真っ黒な闇、その深淵を少し覗いてしまったような気がした。
 

ワンシーンだけ目にうっすら光るものが…。
ハノッホさんはトラウマはないと語る。…メンタルは?
余りに過酷で感情が凍りついてしまったのだろうか。

人格を粉々に砕いてしまう戦争とは、、?


まだホロコーストから1世紀も経っていないのに、またガザで戦争が起きている。

今作を観るきっかけになったTVに、ハノッホさんが出ていた。

今作の紹介と、
今のガザ、イスラエルとパレスチナの戦闘について。 
ハノッホさん自らテレビカメラにメッセージをくれた。

『とにかく、平和を』
北斗星

北斗星