円柱野郎

傷物語-こよみヴァンプ-の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

傷物語-こよみヴァンプ-(2024年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます


西尾維新の小説「物語シリーズ」から、同名の「傷物語」をアニメ化した劇場版3部作(2016~2017)の総集編。
伝説の吸血鬼・キスショットの眷属となってしまった主人公・阿良々木暦の物語。

元々の3部作は8年前のものなので、「なんで今さら総集編?」という気もしなくはないが今度TVの新シリーズ(オフ&モンスターシーズン)が制作されるという発表もあったし、そういう流れの中での企画ということなのだろう。

3部作はそれぞれ64分・69分・83分の作品で、合計すると216分。
しかし公開当時見た印象では「だいぶテンポが遅い」というか「間延びしているなあ」と感じるものであったというのが正直なところ。
比較対象となるTVシリーズ「化物語」がモノローグも多用してカットも刻むテンポの良いものであったのに対し、「傷物語」3部作は極力モノローグを廃して描写で状況を説明しようとする演出だったので、そのギャップも相まって余計に間延びした印象を受けてしまったかもしれない。
そういう意味ではこれが144分の総集編になったことで「テンポが良くなるのでは…?」という期待もあったのだけど、観てみるとモノローグを使わない演出方針自体は変わっていなかったので、「展開はやや早くなったけど、受けるテンポの印象は変わらない」といった印象にとどまった感じ。
とはいえ上手く話は繋いであるので、いわゆる「総集編」に見られるような細切れ感が無かったのは良かったかな。
逆に言えば最初からこの1本くらいに纏めていても良かったんじゃないかとも思ってしまったけれど。
それを言ってはいけない…?w

色々カットされた部分は暦と羽川のエロギャグ…ゲフンゲフン、ジョークシーンが大半かな?
逆に残っているのは暦とキスショットの関係性のところが主なので、作品テーマとしてもそちらの方に重きをおいたというのはわかる。
その分ギャグよりもシリアス寄りの作品になった気もするけれど、TVシリーズのふざけた趣からはさらに離れていった感じかもね。
(まあラストバトルは突き抜けすぎてふざけているのかとも思うものにはなってますがw)

とりあえず総集編としては上手く纏めた良いものにはなっていると思う。
極端なことを言えば元の3部作を見る必要がないくらいだし。
でもやっぱり「物語」シリーズに期待するテンポってこんな感じだったっけ?と思うことはしばしば。
そんな感じ。
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