このレビューはネタバレを含みます
【世に出た者はいずれ消え去る】2023年93本目
インファナルアフェア前日譚。
ヤンがどのようにしてマフィアへ潜入することになったのかを描き出す。
そこにはもちろんウォン警部の存在がいて、当時マフィアの主導権を握っていたハウという人物も新たに登場する。その部下であったサムの手下にヤンはなるわけであるが、非常に相関関係がややこしいのと、若かりしラウ(エディソン・チャン)とヤン(ショーン・ユー)の顔が似ていて訳が分からなくなるのが欠点。
ヤンはハウと異母兄弟の関係性であることが判明。
ラウはサムの妻のマリーに恋心。
それぞれ2人のこの身内との関係性が物語の展開を支えている。
なんといっても登場人物たち全てが魅力的であることがこの映画の醍醐味。
本作の主人公と言っても良いウォン警部。それを喰うかのように君臨するのがサム役のエリック・ツァン。違う世界にいる2人の関係性はどこか微笑ましく見える。
サムとハウのお互いに牽制しあう駆け引きも見逃せないが、ウォン警部がハウを射殺してそれを抱き抱えるヤンの表情、そしてヤンの懐にある盗聴器に気づくハウの驚きの表情を見せるこのシーンには心打たれる。
ウォン警部の良きライバルであるルクの車爆破死シーンとそれに苦しみ悶えるウォンの演技もピカイチ。
ハウのエリート系マフィア感もよかった。
マリーに恋するラウの行動も感情的で脆さも見えるし、しかし脈がないと分かって速攻ハウにチクるあたりは悪人。マリーが空港で轢き殺されるシーンには唖然としました。
香港返還を記念して打ち上げられる花火を見ながら亡き妻を思い涙するサムの姿もやられました。
ラウの狂いっぷりは自作で楽しめる訳だが、とにかくこのシリーズはすごい。
Ⅱを見た後にⅠを見返したくなるし、Ⅲへとしっかりと繋がる見事な脚本に仕上がっている。