たにたに

不意打ちのたにたにのレビュー・感想・評価

不意打ち(1964年製作の映画)
3.6
2024年21本目

オープニングから不穏な空気。

倒れてるホームレスの太腿に、ローラースケートを擦り付ける黒人の女の子。
道路には犬の死体。
クラクション鳴り響く喧騒とした街並み。

ある一軒家へと場面が変わると、青年が遺書を書いている。そんなことも知らない母親は息子を溺愛している様子で、出かける息子へと冗談混じりにくだらない話をする。
軍需産業の株に投資しているだの、自分の詩を誰がつくったのか考えちゃったわ、だの。

母親は足を悪くしており、3階建ての建物にはエレベーターがついている。息子が出かけたあと、エレベーターに乗る彼女だが、停電でエレベーターが途中停止。
原題の通り、"檻の中の婦人"となる。

非常ベルを鳴らすも、喧騒とした街並みと、他人に無関心な近隣住民に気づかれることはない。そこにホームレスがしめしめと泥棒に入り、そして若者3人も強盗に押し掛け、しまいには若者たちはホームレスを惨殺し、地獄絵図。

この若者3人がとにかく気持ちが悪い。
パンストかぶって、アニメに出てくる雑魚キャラみたいな演技をする。
エレベーターに閉じ込められた婦人もなかなか演技が大袈裟で、あえて登場人物を全員変人に仕立て上げている。

本作品でバケモノめ!と何度も叫ばれるが、金で誘惑する婦人然り、強盗3人然り、質屋のじじい然り、アル中ホームレスや言い逃れようとする売春婦然り、そして街行く無関心の人々が全員バケモノに見えてしまうという風刺的映画になっている。
たにたに

たにたに