たにたに

ガザ 自由への闘いのたにたにのレビュー・感想・評価

ガザ 自由への闘い(2019年製作の映画)
3.7
✨2024年20本目

未だなお続くイスラエルとパレスチナの戦争。ガザ地区に住むパレスチナ人側を捉えたドキュメンタリー。

主な内容は2018年にパレスチナ人によって行われた"帰還の大行進"。
パレスチナとイスラエルの間にあるフェンス沿いで自由を求めて行進するというものだ。

その中には幼い子供たちや女性、高齢者、救急隊、プレスなどいるなかで、イスラエル軍は容赦無く射殺や毒ガスの投入を繰り返した。パレスチナ側は武装などしておらず、対抗手段は投石。銃を持っている敵に勝とうとする目的ではなく、自由の獲得と世界への発信だ。

このドキュメンタリーでは、この自由を求めて怪我をした人物や、死んでしまった仲間や家族を悼む関係者などのインタビューを交えてガザの惨状を明らかにしていきます。
最も印象的なのは、ボランティアで医療チームとして参加していた女性。イスラエル軍のスナイパーに射殺された。母親の悲しむ姿に心を痛める。

もちろん非武装者の殺害や、子供や高齢者の殺害は国際法で禁じられている。本作品だけでは結論付けできないが、おそらくアメリカにテロ組織と認定されているハマスとも関係性はない。ただの一般人が殺されている。確実にイスラエルの行ってることは非人道的で、厳粛に対処されるべきことだ。

しかし、
アメリカはイスラエル側の立場をとっており、日々報道されるニュースにおいて、パレスチナ人は"あえて子供や女性を犠牲にして"世界からの共感を得ようと考えているのだと、プロパガンダを利用した悪しき策略とされてしまっている。

昨今ヨルダン西岸地区からパラグライダーで壁を超えたハマスが、イスラエル人を大量虐殺するという痛ましい事件が起きた。
パレスチナ人としては、自分たちの奪われた土地を取り返し帰還したいの一心であり、共生は望んでいない。イスラエル側としても過去のユダヤ人迫害の歴史も国民意識を高めており、報復という形でやり返す。

宗教観もかなり絡んでいる。
トランプ大統領就任時、彼はイスラエルの立場を宣言し、エルサレムがイスラエルのものだと述べた。
今年のアメリカ大統領選挙で、トランプが再任されればさらに問題が悪化の一途を辿ってしまうかもしれない。

アメリカで行われるデモでは、イスラエル人もパレスチナの味方として参加している人も見られるようになった。
イスラエル、パレスチナ、それぞれの立場をしっかりと理解して、それこそメディアに左右されない教養が我々には求められている。

そして、
大国の仲介役が現れ、パレスチナ戦争が一刻も早く終結することを願いたい。
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