愛鳥家ハチ

コンテイジョンの愛鳥家ハチのレビュー・感想・評価

コンテイジョン(2011年製作の映画)
3.8
スティーブン・ソダーバーグ監督作品。『コンテイジョン(Contagion)』とは、接触感染や伝染病を意味する言葉で、タイトルから想像される通り、本作はウイルス性の感染症に世界が翻弄される様を描くディザスター・パニック映画となっています。キャストについては、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンストレット、マット・デイモン、マリオン・コティヤール、ローレンス・フィッシュバーンといった主演級俳優の面々が作品の面白さを盤石なものにしており、終始安心して鑑賞することができました。

ーーリアリティ
 本作の特筆すべき点は、感染症専門医の監修を経たリアリティのあるディテールでしょうか。クラスター(患者集団)、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)といった今日では馴染み深い言葉が作中では連発され、人が一日に顔を触る回数にも言及されるなど、感染症予防の意識を高めるには打ってつけの内容を含んでいます。最前線で奮闘するCDC(米国疾病予防管理センター)の研究者の発言はいずれも説得力があり、感染症予防の核心が台詞の中に丹念に練り込まれていたと感じられました。

ーーリテラシー
 また、恐怖がデマを加速させ、人々を理性を欠く行動に駆り立てる様も描かれており、不確かな情報に踊らされないリテラシーの必要性についても強調されていました。現実世界に目を転ずれば、例えばTwitter等でリツイートをする際に、今一度情報源は確かなものかどうかを一呼吸置いて精査することが求められているのだと思わされます。

ーー総評
 本作は、エンターテインメント作品として手堅い完成度を誇りつつも、感染予防啓発作品としても極めて意義深い内容を含んでおり、細部にわたって見逃せません。今日において、多くの方が観るべき作品であることに違いはありません。
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