このレビューはネタバレを含みます
パリのメトロで演奏するミュージシャンたちのドキュメンタリー。メトロで演奏してる訳じゃない人たちも出てきます。
セルビア、ベネズエラ、アルメニア、マリ、ザイール、アルゼンチン、ルーマニア、ベトナムなどなど。各々の事情にまで話が及ばない人も居ましたが、語られる人の多くは政治亡命もしくは出稼ぎ。
国際色の豊かさに驚かされますが、現在はどうなのだろう。少なくとも、冒頭のトリオが語る内容は、2010年代の移民とそう大きく変わらない。
奏でられる音楽がどれも素晴らしく、心に刺さりました。最後の曲に至るまで全て印象的で、ベネズエラの人のハープの音色が途轍もなく美しかったです。
映し出される人々の表情もどれもが素晴らしく、劇中の「音楽の力」の言葉の若干の青臭さも消し飛ぶよう。
ここ10数年の展開を考えると、彼らはどうなったのだろうかと気になります。今も音楽の聞こえる街であって欲しい。ただ地下鉄のカットは早々に終わるのでこのタイトルはどうかな…。
ところどころ指示した跡が見え隠れしましたが、圧倒的な音楽の素晴らしさで、外からは見えづらくもあるパリの包容力と排他性という側面を映し出してくれた名作でした。