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五瓣の椿のkoyamaxのレビュー・感想・評価

五瓣の椿(1964年製作の映画)
3.8
ごべんのつばきです。

死にゆく父親を侮蔑し、家庭を顧みず男遊びに耽る母親とその男たちへ復讐する娘の物語です。
法では罰することの出来ない罪を裁きます。

二部構成、若干長いです。
女の復讐、前後半に分かれた構成。
ミラマックス製作の某作に似てなくもないですが、むしろもともと時代劇のお家芸のひとつですね。

復讐する動機は色々あるとおもいますが
利害や物理的、精神的負担より何より
人の尊厳を踏みにじる行為が最も許すまじ怒りとする物語に、逆説的ですが人の尊さとは何かを感じさせてくれます。

ましてや、自分ではなく、自分を愛してくれた父親を侮蔑されることに深い憎悪を燃やす所に、陰惨な復讐劇の裏の深い情を感じます。

岩下志麻さんというと、極妻的なこわいイメージが強いですが、ここではそれ以前の清らかさと妖艶さ、冷徹さがせめぎ合っています。

娘は次々と復讐しますが、
その行為自体に葛藤し、ブレまくりながらも思いを遂げてゆくところがみどころです。


個人的な新発見は
伊藤雄之助さんという俳優。
すごく味わいがあります。
勿論著名な方ですがこれまであまり知りませんでした。独特な雰囲気に一気にファンになってしまいました。これから観たい映画にたくさん出てるので楽しみです。

西村晃も凄くいやな感じです笑
後の水戸黄門になるとは^^;
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