Ricola

人生模様のRicolaのレビュー・感想・評価

人生模様(1952年製作の映画)
3.5
かの有名なオーヘンリーの短編小説を原作としたオムニバス作品。

オーヘンリーの人生にも触れつつ、言わばちょっとした作品解説も兼ね揃えているのが面白い。 


ストーリーごとを繋げる役割とナレーションを務めるのが、『エデンの東』や『怒りの葡萄』が代表作の作家、ジョン・スタインベックというのは驚き。

そして音楽はアルフレッド・ニューマンが手掛けているということでかなり豪華な顔ぶれ。

5つの短編作品で構成されていたが個人的に印象に残ったのが、2話目と5話目。

2話目は『クランコリオール新聞』というタイトルである。
この5つの中で一番ハラハラさせられた。短いながらも、元ギャングの刑事とそのかつての親友で指名手配犯の関係性の変化、駆け引きと友情と、ちゃんと描かれている。
犯人の少し誇張された演技が、ディズニーアニメの悪役のようで、コミカルさを感じられるかわいさがあった。

そして最後を飾る5話目は、あまりにも有名な『賢者の贈り物』。 
クリスマスに、ある夫婦に起こる素敵な奇跡を描いた心温まる話である。

ただ、かなりひっかかったのが、原作だと若夫婦がもっと貧しいイメージだったので、妻が夫にプレゼントで「アザラシの毛皮のコート」を頼むあたりが疑問だった。
わりと豪勢なクリスマスを送れそうである。
この話で肝となる設定が大幅に変更されてしまうことで、正直原作の良さを潰してしまっていると思う…。
いくら脚色といってもここまでは残念である。

全体的にまとまりがあり、オーヘンリー自身についても少し知ることができて、ストーリーの繋ぎが素敵だった。

オーヘンリーらしい、人間への愛と彼の優しさを感じられる感動作。
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