東京アリス

チャンスの東京アリスのレビュー・感想・評価

チャンス(1979年製作の映画)
3.6
【純粋さんを周囲が勝手に勘違いして崇めるすれ違いコメディ映画】

庭師のチャンスが住み込みで仕えていた主が亡くなり、家を追い出されることに。
事故で知り合った縁から、VIPなお屋敷に招待されるが、特別な人間だと勘違いされ、FBIやCIAを巻き込んで国家レベルの勘違いを呼ぶ。

アンジャッシュのすれ違いコントを見ているようで、どのシーンも面白いんだけど、後半少しお腹いっぱいになってしまった。

外界はものすごいことになっていても、主人公チャンスはなんの影響もうけていない。これからもそうだろう。
チャンスはただ自分を生きているだけで、おじい様のお下がりである立派な洋服と、賢いのか馬鹿なのかわからない表情(これが本当にすごい演技力)と、評判が評判をよび、チャンスを偉人のように敬いエスカレートしていく周囲に皮肉を感じる。

ラストシーンは、チャンスの人柄とこの映画の寓話的なラストで不思議な終わり方。
頭で考えると、「フォレスト・ガンプみたいに彼自身の積極性とかなくていいの?」とか「庭仕事が好きではじめちゃう」などの、チャンスの能動性を見たい気がするんだけど、ピーター・セラーズの演技がいきるのは、この「TVがあれば満足」という感じだなぁと納得もしてしまう。

ただ、お屋敷内にひとりだけでも、チャンスをありのまま見れる人がいて欲しかった気はする。
(メガネドクターがそうだと思ったんだけど、一緒になってかいかぶり合戦に参戦してた)
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