【クモのパワーを手に入れた弱虫君が、愛する人を守りヒーローの力と覚悟を獲得する】
ハリウッド超大作にどこか白けてしまう私が、好みでない部分もトータルで「好き」にひっくり返らされた。
アラフォー女性なのですが、小学生の時に流行った「キン肉マン」のムチムチした体のビジュアルが全然好きになれなくてマンガ自体も「なんかあんまし」だった。
(キャラ全員があぁだから。女子好みじゃないんです)
キン肉マンをよしとしない感覚で、スパイダーマンのスーツは全然かっこよくないのだけど、原作のスパイダーマンを、まるっと好きになってしまう感じがあった。
いついかなる時もウィレム・デフォーが出てくると大喜びなのですが、緑の仮面は少し浮きすぎる位「マンガ」だなと思っし、ヒロインがいろんな男性の間を揺れ動いているだけで、少し古いマンガチックな感じがした。
でも、このマンガっぽさが原作ファンにはたまらないんだろうな…という承諾を経由して面白がって観れた。
少年にとっての「父の存在」「大いなる責任が伴う大いなる力」「ずっと好きなのに誰かの恋人」である、その喪失感がピーターを大人にしていくんだけど、それらを手にして(受け入れた)大人になると同時に、ヒーローとしての孤独が運命づけられる。その苦悩の部分も、元々は自分に近い普通の(なんならそれより弱い)主人公だからこそ、共感をもって感じられた。
トビー・マグワイアのカッコよさと普通っぽさの絶妙なバランスもいいし、ひょい~~ん、とビルの谷間を飛び回るシーンはこちらまで気持ちよかった。
宙づりキスとか、「あれ、この感じ…♡」とか、甘ずっぱいシーンも盛り沢山!
好きな人を守りたい!守ってくれる人って素敵!は普遍的な感情なのだ。
映像の新鮮さやストーリーだけでなく、「大いなる力は大いなる責任が伴う」のメッセージはダメ押しという位にいいところで入れてくるし、「ハリーには言うな」と言って絶命するパパには父の尊厳がいかに男性(息子にも)大事かを思い出させる。
ハリウッド大作として楽しませつつ、原作「スパイダーマン」を好きな人の超個人レベルの愛情も感じられる超大作でした。