東京アリス

ワイルド・ブラック/少年の黒い馬の東京アリスのレビュー・感想・評価

4.6
【映画ってすごい!たてがみを手綱にして走る少年と馬の美しさよ‼】

映画って最高じゃない!?って思える作品。

船の事故から、無人島でサバイバルする少年アレックが、同じ船で運ばれていた黒い馬・ブラックと再会する。
サバイバルには向かなそうな都会風なもやしっ子が、嘆いたり力んだりせずに野生化しているのがおもしろかった。転校生が、ごく自然に同級生と仲良くなって…みたいに自然にブラックとも仲良くなる。

浜辺でブラックとその背中に乗るアレックの美しさったら!
よれよれの腰巻き一丁の姿なんだけど、最高に楽しそうで満足気。

岡田准一君が馬を乗りこなす姿もいいけど、それとは別次元の美しさで「映画好きでいてよかった~~!」と思った。

そのシーンだけでもう大満足なんだけど、サバイバル生活が終わり、元調教師ヘンリーとの出会いで仲良しコンビはレースに出ることになる。
それから、大好きな場面がふたつ。
アレックがヘンリーに「もう馬は教えないの?」と聞いた時、ヘンリーに調教師としてのスイッチが入ったのがわかる。情熱の炎が再燃した瞬間だった。

もうひとつの好きシーン。
野生馬のブラックは、レース慣れしていなくてスタートが遅れる。
大差をつけられた二頭のツートップに、まさかと思うほどの距離をつめるのに本気になったアレックが晴れ舞台用の衣装のマスクとゴーグルをはぎ取る。
スピードを増していく様は、ブラックと一体化していくみたいだった。
友情とか(愛とか?)って、ふたりの間に境目がなくなるような、一体化するってことなんじゃなかろうか…そんな定義がうまれた映画でした。

「少年と馬の友情」というフレーズに少しでも「はぁ、友情ねぇ」となった人にこそ見て欲しい!
(私はそうでした)

シンプルな話なのに、ひたむきな感情と映像だけでずっと惹きつけられた。
『ゴッド・ファーザー』しか知らなかったけど、フランシス・コッポラって天才なんだなと思った
(…本作では総指揮、監督はキャラル・バラード、他にも動物映画作を手手掛けられています)。
これが1979年公開。見るべき映画にもっと出会わなくちゃいけない気がして、私も映画スイッチ入れられましたよ。
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