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ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPERORのKKMXのレビュー・感想・評価

2.5
教養のために鑑賞。ヤバそうなタイトルでしたが、随分と牧歌的なドキュメンタリーでした。当時のヤンキー、どことなく呑気なイキフンだな…
昭和の暴走族の風俗を生記録しているため民俗学的な価値はあると思いますが、漫然とした構成なので映画としては面白くない。

当時の暴走族はちゃんと規範があり、内部にしっかりした社会があったんだなぁとありきたりな感想を抱きました。多分学校とかのスタンダードな文化に馴染めないはみ出し者にとって、暴走族はある意味居場所のような機能を果たし、そこで社会スキルを学んでいったのかもしれませんね。
ここでやっていけなければ社会でやっていけない的なセリフもあり、アウトローとガチガチに直結している訳ではない様子でした。

BGMがジョンスペみたいでカッコよかったです。『なんまいだぁ〜おしまいだ〜』という曲が印象に残ってます。


【追記】
コメントにも書きましたが、おそらく不良の質が変化したのはロスジェネ世代以降なのでしょうね。関東連合の中心人物たちはロスジェネ世代ですし、はみ出し者の居場所から、もっと殺伐としたものに変化していったのかもしれません。
半グレは暴力団排除条例により暴力団の衰退に反比例して拡大したと言われています。そして、それは本作で描かれているような居場所のない人たちを包括する縦社会的な文化の衰退とちょうど時期を同じくしていたのかもしれません。
暴排条例はある意味規制緩和にも見え(ブラック社会への非暴力団の自由参入を可能とする)、極論を承知で語りますが新自由主義的な政策のようにも感じます。そして本作で描かれている秩序ある暴走族の崩壊は地域社会の崩壊を連想させます。
その意味でも、本作はプレ現代のひとつの下位社会を切り取って記録した、たいへん貴重なドキュメンタリーだと改めて感じました。民俗学・文化人類学だけでなく、社会学的にも価値のある資料だと思います。
とはいえ、繰り返すけどやはり映画的にはつまらん。
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