牛猫

アナザー・カントリーの牛猫のレビュー・感想・評価

アナザー・カントリー(1983年製作の映画)
3.1
1930年代のイギリスのエリート校を舞台に、同性愛や共産主義にのめり込んでいく学生たちを耽美的に描いた話。

ファシズムが台頭しようかという世情に加えて、エリート校特有の規則の厳しさや派閥争いの醜さといった鬱屈とした状況とは裏腹に、豪華な校舎に広い敷地を備えた寄宿学校の雰囲気や、洗練されたファッションが華々しくて目を奪われる。落ち着いたピアノのBGMも世界観に合っている。

特に話に起伏がある訳ではないけど、何不自由ない生活を送り将来を約束されていたであろう主人公が、どういう経緯でスパイとして生きていく道を選ぶに至ったのかが分かって興味深かった。
どちらかというと、そういう生き方を選ばざるを得なかったという感じだけど。
今はこの時代に比べるとマイノリティに対する理解も随分広まったと思うけど、時代や環境によって自分らしい生き方ができないというのも酷な話だと思った。

そして若き日のコリンファース。かっちりスーツでダンディにキメるキングスマンもかっこいいけど、この映画みたいなトラッドファッションも似合ってた。飄々としているようで主人公に寄り添う友達というのも美味しい役どころ。渋い声はこの頃から変わらない。
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