Hagieen

アドレナリン・ドライブのHagieenのレビュー・感想・評価

アドレナリン・ドライブ(1999年製作の映画)
3.9
矢口史靖監督、石田ひかり、安藤政信主演。

レンタカー会社で働く鈴木悟は優柔不断で上司ともそりが合わない。
ある日、車を運転中に上司の嫌がらせのせいでヤクザの車に衝突してしまう。
事務所に連れていかれた悟だが、ガス漏れによる爆発で事務所は大破。
ヤクザの裏金による出元不明な大金が目の前に転がる。
とっさにそれを掴む悟は、その場に居合わせた看護婦の佐藤静子と共に逃避行を計る。

大金をめぐるドタバタとしては矢口監督の前作「ひみつの花園」と同様だが、男女の主人公という事で少し恋愛要素もある。
優柔不断な悟とおとなしい静子が、大金を得たことでキャラが変貌していく様は面白くも人の本質を描いているのかもしれない。
特に石田ひかりの地味女が華やかに変身し、大声をあげたりはしゃぐ様は面白く矢口演出ならではだと思う。

当時から安藤政信はイケメンだと思っていたが、コレは矢口系優柔不断男の典型タイプによくハマっている。
後の「ウォーターボーイズ」の妻夫木聡と共通点が多いように感じた。
石田ひかりは当時は何とも思わなかったのだがw
今観るとチャーミングだし、もっとコメディも行けるように思う。

生き残りのヤクザとして大金を追うのが松重豊。
本作で松重豊を知りファンになったのだが、まさか「孤独のグルメ」などここまで人気役者になろうとは。
あと松重ヤクザを面倒見る病院の婦長役の角替和枝がいい。
コミカルに描いているが、真面目に見えた婦長が金で心動くところもまた人間の本質。
松重豊と角替和枝のやり取りなど面白く、もうちょっと尺があっても良かった。
※ちゃんと描かれてはいないが、最後に取り残された婦長を迎えに来ているのもいい。
 たぶん監督も松重×角替コンビを気に入ってたんじゃなかろうか。

20年ぶりくらいに視聴したが、やっぱり矢口作品は面白い。
特に「ウォーターボーイズ」前夜だけにまだ毒も残っているw
きちんと見せていないが人が死んでいるのをさらっと語ったり。
また蓼科の田園地帯を小さな車でチンピラ集団がギュウギュウ詰めで走っていたり、
コミカルな感じはどこか「カリオストロの城」にも通じるな・・・と改めて思ったり。

他矢口作品に比べ知名度低い気がするが、本作は傑作でお気に入り。
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