Hagieen

里見八犬伝のHagieenのレビュー・感想・評価

里見八犬伝(1983年製作の映画)
3.5
深作欣二監督、薬師丸ひろ子、真田広之主演。
そして制作角川春樹。

かつて里見家に滅ぼされた玉梓たちは、100年ののち妖怪として復活。
恨みを晴らすべく里見家を攻め滅ぼす。
ひとり落ち延びた里見家の静姫は、運命によって集いし霊玉を持つ八犬士たちと共に玉梓たちを討ちに行く。

角川映画最盛期なだけにプロモーションも力を入れていた記憶。
時代劇なのに英語のテーマ曲は斬新で(といっても当時の角川映画はほとんど外タレの英語曲だったが)耳に残っている。
ロックな楽曲ときらびやかな衣装、セットもギーガっぽい有機的な曲線の多い装飾から、クリムトもどきな絵など美術さんも力入っている。
この映画の感じ、劇団新感線は相当影響受けていると思う。

役者陣も豪華。なんといっても玉梓たちヴィランを演じる怪演隊の面々。
筆頭・夏木マリの妖艶な感じ。美形ならではな凄みと大きな目! はまり役でカッコいい。
長兄・目黒祐樹が濃い顔にさらに濃いメイクで存在感を放つ。
蛇男・萩原流行が濃い顔シリーズにとどめを刺すw

八犬士は千葉ちゃん筆頭に志穂美悦子、ギャバン大葉健二のJAC陣営に、苅谷俊介、寺田農、京本政樹とくせが強い。
これだけくせがある面々に囲まれると、薬師丸ひろ子の清涼感が際立つ。そこまで計算なのか、深作監督!、いや春樹の方か。
真田広之はバリバリアクション期なので、大立ち回りで二刀流の鎌使うなどカッコいい。
後半ブラック網々シースルーな衣装になり、急にロック色があふれるw

特撮も大林イリュージョン(自分は大林宣彦の特撮をこう呼んでいる)より一歩進んだ感じで、オプチカル合成とか安定してきた時期に思う。

もともとの南総里見八犬伝とはかなり違う話となっていて、話の展開とかご都合主義で雑な感じがある。
しかしスターウォーズやレイダースなどの要素も敏感に取り入れ、エンタメ映画としてそれまでにない外連味あふれた大作に仕上げた意味は大きい。
海外に売り込もうという意欲が伝わる。角川春樹、スゴイよ!
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