Hagieen

少女邂逅のHagieenのレビュー・感想・評価

少女邂逅(2017年製作の映画)
3.9
枝優花監督、穂志もえか(公開当時「保紫 萌香」名義)、モトーラ世理奈主演。

いじめによって声が出なくなったミユリ。暗く怯えた表情は更なるいじめを誘発する。
いじめの度にリストカットを試みる。ある日、ふと自分の手首に蚕がいるのを見つける。
ミユリはその蚕を『紬』と名付け小さい箱に入れ飼いだす。
常に『紬』を持ち歩いていたミユリだったが、いじめにあった際に『紬』を森の中に放たれてしまう。
精神的支柱を失ったミユリの前に「紬」という名の少女が現れる。

真田広之の「SHOGUN」でも独特の存在感を発揮している穂志もえか。
前から「少女邂逅」は気になっていたが、そうか主演の娘かと本作を視聴。

主演の穂志もえかは透明感ある美少女だが、本作では終始暗い表情ではかなげで壊れてしまいそうな危うさを漂わせている。
いじめられている役故に重い話になってしまうが、穂志もえかの存在感でなんとか耐えられる。
そして狭い自分のセカイに閉じこもりひたすら怯えて暮らす、そんな毎日を送るミユリを外の世界に開放するメンターが紬だ。
紬役のモトーラ世理奈はモデルとあってひときわ存在感がある。
蚕と同名の紬というキャラクターはどこかこの世の者ならざる感があり、何が真で何が虚なのかわからないミステリアスさがあり、これもモトーラ世理奈にハマっている。
この二人のキャスティングが本作の魅力を大きく上げている。

当初「少女邂逅」というタイトルから百合っぽい作品なのかなとも思ったが、邂逅と蚕のダブルミーニングなのね。
閉じ込められた世界から放たれるマユリも蚕であり、蚕と同名だった紬もまた蚕である。
傷付きやすいこの世代の少女のメタファーでもあり、いいタイトルだと思う。

監督の枝優花は若い気鋭の監督(撮影当時23歳)という事で、女性ならではの繊細さやアイデアに溢れている。
ケータイの自撮りを使った2分割ショットとか、岩井俊二とか好きなんだろうな・・・と。
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