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ボウリング・フォー・コロンバインのNMのレビュー・感想・評価

4.0
演出の工夫は取り混ぜつつも、直観的に現実を分からせてくれる。
それにより、ドキュメンタリーだからと難しく構えず観ることができる。

エンタメ性もあり、社会問題にあまり興味がなくても面白く観られる作品。

まずはアメリカの銃社会の現状を伝える。
銀行口座を開けば、その場で銃をプレゼント。
床屋で髪を切りながら、銃弾が買える。

メディアと企業による、恐怖をあおる戦略。
ムーアの主張としては、それがアメリカでは行き過ぎてはしないか、ということだろう。

もちろん他国でもそれはある。
日本だって、メディアは注目を浴びる話題を敢えて衝撃的に取り上げるし、企業は、安全のため健康のためといって、様々なニーズを作り出す。

メディアやマイノリティに踊らされず、行き過ぎに気付いたら一歩身を引いて、冷静に正しいかどうかを判断すること。
そして正しい政治や、福祉のあり方を模索し続けることは大事だと感じた。

印象に残ったのは、口座を開くときの女性銀行員が、銃所持のための書類を書かせるとき、人種を書く欄があり、「人種は大切だわ」とさらっと笑顔で言った場面。

そして、銃所持団体の当時の会長ヘストンが、なぜアメリカだけ銃犯罪が多いと思うか、という問いに対して、「国民に多様な人種が混ざっているからじゃないかな?」と、ついぽろっと言ってしまったところ。
白人のみにすれば犯罪が減るという偏見が垣間見えた。

人種の多様性が原因でないことはムーアが各国での取材を通して主張している。
例えばカナダは銃所持は多く、人種も多様だが、
犯罪は少ない。

そもそもアメリカだって犯罪件数は減っているという。

なのに、自衛のため、自由のためと、銃や防具や防犯設備が売れ続ける。
やはり彼らは、自分たちが踊らされていることに気づいていないのでは。
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