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異邦人のYOU5521のレビュー・感想・評価

異邦人(1967年製作の映画)
4.5
最初に言っておきます。
この感想は本作を観ないで書いています。

「人生の書は?」と訊かれたら
もう高校生の頃から一貫している。
今でも揺るぎない。カミュの『異邦人』。
その映画版あると知ったのも高校生の時
猪俣勝人『世界映画名作全史』。
それ以来機会があれば観たいと思っていたが
ずっとそれは訪れなかった。
名画座でもテレビでもやらなかったし、DVD化もされなかった。
最近デジタルリマスターが出たことを知る。
人はいざその時が来ると逡巡するものらしい。
いろんなことが頭を去来した。
そして現在U-NESTのサブスクで観れる。
見つけた時は嬉しくて、すぐリストに入れたが
やっぱり観れないでいる。
監督はヴィスコンティ、マリイはアンナ・カリーナ
こんな奇跡的な組み合わせはない。
それはわかっている。でも観れない。

たぶん怖いのだ。人生のすべてという位、
積年ためたメージが変わってしまうのが。

小池龍之介「しない生活」に始まり、
養老孟司「無思想の発見」、金子由紀子「買わない習慣」。
ブッダに老荘、茶道。インドのゼロの発見。断捨離にこんまり。
しないことで手に入ることがある。
「やらない」ということを「する」。
ネガティブな「やらない」とポジティブな「やらない」。
「無」とはこういうことなのだろうと思う。
柳町光男監督の『カミュなんて知らない』は
「知らない」と言うことで強烈に「知らしめている」。

そういうことなのだろう。
いまも映画『異邦人』を観ないでいる。
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