なべ

シックス・センスのなべのレビュー・感想・評価

シックス・センス(1999年製作の映画)
4.2
 ライブラリからシャマラン作品を引っ張り出して再評価する企画その2はシックス・センス。

 あー、これはすごい。久しぶりに観たけど、この作品でメジャーデビューしたのはある意味不幸かも。それくらいよくできた極上のミステリー。
 設定の巧さ、脚本の緻密さ、演出の上品さ、ロケーションのほどよさ、キャスティングの妙、そして予想外の結末と、すべてが調和してる。午前十時の映画祭で選ばれてもいいくらいの名画感だ。
 フィルマのレビューを見ても、この映画に関してはみんないい評価。愛されてる映画なんだよなあ。

 マルコムとコール、2人の心が通じ合うにつれ、コールの抱える問題が明らかになるのがいい。コールの秘密は観客はとうにわかっているのだが、彼が誰にも打ち明けないので、2人の距離が縮まるのをじっと見守ることになる。こわい思いをしてる少年とつらい思いをしてるおじさんを同時に見守るのって、すごく気持ちいい。ちょっと不気味だけど、あたたかい気持ちで見るミステリーってほんと癒される。
 ちょっと不気味ってところも、とても惹かれる演出。地味に嫌な怖さで、突然現れた少女にゲロなんて吐かれた日にゃ、しょんべんちびっちゃうわ。「ちょっとスッキリしたわ」とか言われても!言われてもー!
 てか、彼らが現れるとき気温が下がるって設定は、もう物語の枠を越えてぼく自身の中で確定要素となってるからね。室内で吐く息が白くなったりしたら、恐るおそる振り返るもの。
 こんなふうにコワ味とあたたかい気持ちが緊張と緩和になって、上質の見応え感が得られるんだよな。
 終盤の母と息子が車中でわかり合うところなんて結構マジ泣きしちゃったからね。再生を止めてティッシュ取りに行ったもん。
 いやあ、いい映画観たわあ。
なべ

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