今までどれほどの人と出会い、どれほどの別れを告げたのか。これからどれほどの人と出会い、どれほどの別れを迎えるのか。共通するのは向こうが消えるか、こちらが消えるかだけ。
ぼくらは普段当たり前のように誰かと話をする。ある日相手が突如この世から姿を消すとも意識せず。ましてやそれが愛する人であったならば。ただ想いの丈を叫ぶしかない。叫び、泣き、胸の内を晴らし、届かない手を伸ばすしかない。
声にならないラブレター。悲しみを枯らすことで人は前を向く。ぼくらはやがて忘れ、忘れられる。でも想いが浮かぶ度、何かを触媒にして静かに側に舞い降りる。どこにでもあって気付かないだけの奇跡。
「お元気ですか?こちらはなんとかやっています」
2017.9.28<決定稿>