かじられる

この世界の片隅にのかじられるのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
5.0
たぶん、
目に映る景色や街並みはいつかの誰かの墓場。些事を重ねた日常が、顔もなく、声もなく、幾重の時を超えて降り積もっている。わたしが辿る物語も、死んでしまえば絵空事。誰の記憶にも残らず、いつか山を越えるサギのように点描に消えるだろう。

それでも生きることは止まなくて、喜びと悔しさを蓄えながら、食事を摂り、衣類を整えて、次に備えている。平穏無事である明日をなんとなく予感しながら、ごく自然に、今日という過去を受け入れている。幸か不幸か降り立ったこの場所、片隅、中心で、かそけき笑顔を交わし、しがみつくように信じて。

時代は、残酷な覚悟の上で語られていますか?孤独だけが彩ってきた色鮮やかな空。
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