かじられる

女王陛下のお気に入りのかじられるのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.2
純然たる意思があるなら見せて下さい。

いつだってわたくしなるものは、一番近くにいる他人だし、何をしたって、無意識な誤変換は行われ、隠語を操る愉楽に似た、ポーズがデコレートされている。そこに規格外の権力やら名誉やらが見え隠れすれば、もう狂気は善意の仮面を被って、嬉々と踊り出す。笑えばいいのか笑っちゃいけないのか、震える小心は、あくまで自分を見失わないよう、読書に勤しみ、映画で世界を広げ、ランニングで頭を空にして、せめてもの輪郭をなぞり、束の間の安堵にしがみつくけど、ちと美味しいワインを差し出されただけで、直ちに分解し、昨日のわたしは昨日のわたしと我が物顔でタガを外すのは一目瞭然、吐くにも吐けず、空えづきが続くんだろう。魅惑の椅子に鎮座するや、態度も所作もガラリと変わって、それでいて高みしか見ないのは皮肉なのか、中毒なのか、まだママ友関連のゴタゴタが可愛く見えて来ます、ていうか一緒だよね。

我が意を置く信頼や友情の裏に、謀りが潜むが故に、孤独なのか、孤独だから言うこと言うこと疑わしく眉をひそめるのか、一度地に堕ちてしまえば、甘い言葉では痛んで歩けない。せめてものバランスを保った「綺麗」て言葉で個人の周縁を繕い、ページをめくってきたけど、醜悪な心にもカタルシスはあるから、豊穣なクラシックは終わることなく、甘美な彩りとして酩酊してしまうことをここに告白いたします。
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